November, 11, 2014, Trondheim--太陽電池の新しい製法は現行基準と比較してシリコンの量を単位面積あたり90%削減する。純度の高いシリコンは高価であるので、新しい製法は太陽光発電のコスト削減に貢献する。
ノルウエイ科学技術大学(NTNU)物理学部、Ursula Gibson教授とPhD候補、Fredrik Martisenによると、この製法では安価な原料を少量使う、製造ステップも少ないので、エネルギー消費も少なくなる可能性がある。
Scientific Reportsに発表された技術によると、太陽電池製造に使用するのは現在の産業基準と比べて1000倍純度が低く、安価なシリコン。
研究チームの太陽電池は、ガラスに被覆されたシリコンファイバでできている。シリコンコアは直径約3㎜のガラスチューブに挿入されている。これを加熱してシリコンが溶けてガラスが軟化する。チューブは広がってシリコンで満たされた細いガラスファイバになる。この加熱と伸延プロセスによってファイバは100倍細くなる。
これは光ファイバを製造する方法として広く採用されている製法。研究チームは、米国のクレムゾン大学の研究者と協力して、この方法で作製したシリコンコアファイバを初めて太陽電池に使用した。この太陽電池のアクティブ部分は、直径約100µmのシリコンコア。
この製法は、もう1つの問題の解決も可能にした。従来の太陽電池は高純度のシリコンを必要とする。
「われわれは比較的純度の低いシリコンを使用することができる。純化は、溶けて、再度ファイバ形状に固まるプロセスの一環として自然に起こる。つまり、エネルギーとプロセスの節約になる」。
研究チームによると、この製法では従来法のほぼ1/3のエネルギー消費ですむ。
この新しいタイプの太陽電池は、比較的新しいアプローチ、垂直ロッドラジアル-ジャンクションデザインに基づいている。この製法では、平面太陽電池と比べて純度の低いシリコンを使用する。
太陽電池の内部構造を説明すると、異なる波長のフォトンがシリコンウエハの異なる層で吸収され、自由電子、つまり電荷キャリアが生成される。これは分離されて電気エネルギーになる。
この電荷は表面、つまり電極、p-nジャンクションに近くなければならない。p-nジャンクションはデバイスの活性領域で、ここで異なるタイプの電荷が分離される。電荷が捉えられないと、エネルギーは散逸して太陽電池そのものを加熱する。
従来の太陽電池では、電荷が生成されて表面までの移動距離が非常に長くなる。このことは、高純度のシリコンが必要になることを意味する。しかし、ガラスチューブ内のシリコンファイバでは、ファイバ周辺の至る所にジャンクションがある。電荷が生成されて捉えられるまでの移動距離は極めて短い。純度が極めて低いシリコンを使っていても、電荷は効果的に捉えられる。
現在の太陽電池の効率は、約18%。NTNUの研究チームが初めて造ったプロトタイプは、約3.6%の出力。しかし、研究チームは設計と製法の改善に取りかかっている。