August, 21, 2023, Washington--Ning Zhangと共同研究している研究者は、個人化医療器具の完全性を検証するツールを開発した。
もはやサイエンスフィクションではない、個人化医療デバイス、補聴器から手術器具まで、すでに3Dプリンティングを利用して作られている。特注人工臓器のような一段と進んだ製品が近い将来実現する。これらの進歩は、世界中の患者に利益を約束するが、サイバー犯罪者が悪用する新たな道を開くことにもなる。
ワシントン大学セントルイス(Washington University in St. Louis)、McKelvey工学部、コンピュータサイエンス&工学准教授、Ning Zhangと同氏のチームは、XCheckで潜在的なサイバーアタックに先手を打つために取り組んでいる。XCheckは、3Dプリントされた患者に特化したデバイスにおける隠された欠陥を検出するためにチームが開発した。この研究成果は、USENIX Security Symposiumで発表された。
「未来は個人化医療である。アタックの結果は、非常に大きくなる可能性がある。この技術は、まだ揺籃期であり、われわれはまだたくさんのアタックを見ていないが、実際の患者に害をなす前に、前もって防御の仕方を考えておくことが適切である」(Zhang)。
患者特化のデバイスを製造するプロセスでは、医療の専門家が、デバイスを製造する特殊なプリンティングファシリティにデザインを頻繁に送る必要がある。支払いが済むまでサイバー犯罪者が情報を人質にするランサムウエアアタックと同様、悪意のある犯罪者が設計あるいはプリンティングプロセスを改竄して、犯人だけが対処方を知っている悪意のある欠陥を導入することがあり得る。
XCheckは、最終製品をCTスキャンで診断することでそのようなアタックに対して防御するという点で類例がない。製造プロセスの全段階をセキュアにしようとするのではない。これは、複雑でコストがかかり、全く不可能ではないが、努力を要する。
「XCheckは、プリントされたデバイスのCTスキャンとオリジナルデザインとを自動的に比較し、医者にはわからない見えない偏差を検出する。CTスキャンは、表面欠陥を明らかにできるが、さらに重要な点は、それは、隠された欠陥も見えるようにする」と、論文の筆頭著者、院生、Zhiyuan Yuは、説明している。
XCheckは、何らかの内部欠陥、あってはならない穴あき部分のようなものがあることを確認するためにデバイスの体積を計測する。CTスキャンににより提供されるデータを使って、デバイス製造に正しい材料が使われていることを検証する。
XCheckは、既存の装置を使い、Zhangのチームによって広範に利用できるようになるので、Zhangは、そのツールが医療や他のアプリケーションで広く利用されると見ている。品質保証向けの汎用ツールが将来的には、ますますサイバーフィジカルになるからである。
「先へ進むにしたがい、人間は長生きし、健康な生活のためにコンピュータに依存するようになる。この技術へのわれわれの依存が大きくなるにともない、セキュリティ配慮が、より重要になる。XCheckは、技術者や医者が、製造されたデバイスにおける潜在的な欠陥を調べるための実用的なツールである。あるものが患者にとって安全かどうかについて最終決定を下すが、専門的ユーザには、その決定を下すための重要な情報、視覚化を提供する」(Zhang)。