August, 16, 2023, 仙台--世界ではすでに移動通信システム5Gの次の世代「6G」を見据えた研究開発が始まっており、5G用の電波(ミリ波)よりさらに波長が短いテラヘルツ波が使用されることが明示されている。
しかし、テラヘルツ波は障害物に遮蔽されやすく、その進行方向を制御して遮蔽エリアに信号を届ける技術が求められている。
東北大学大学院工学研究科の金森義明教授らの研究グループは、シリコン製のサブ波長構造で構成される透過型メタマテリアルを新たに開発し、屈折率を人工的に精密制御して空間配置する実効屈折率分布制御に基づき、テラヘルツ波の進行方向を所望の向きに変えることのできるテラヘルツ波偏向器を開発した。開発した透過型メタマテリアルは、半導体微細加工技術を用いて作られるため小型・量産性に優れる。
この技術は、将来的にはテラヘルツ波スキャナやイメージングへの応用展開が期待でき、医療・バイオ・農業・食品・環境・セキュリティなど幅広い分野での応用も期待される。
昨年、設置した国内初のメタマテリアルを専門とする研究センター「メタマテリアル研究革新拠点」を基盤に実装化に向け、研究をさらに加速させていく。
研究成果は、2023年7月31日付で、米光学会誌Optics Expressに掲載された。