August, 15, 2023, Boston--ボストン大学の研究チームは、広い視野でシングルショット、3D高解像度イメージングを可能にするコンピュータ利用小型顕微鏡の新規アップグレードを発表した。簡素でローコストの小型装置は、幅広い範囲の大規模3D蛍光イメージングや神経記録アプリケーションに有用である
ボストン大学のQianway Yangは、この研究成果をボストンで発表する。
「自由に動く動物の神経記録は、機能的脳の相互作用が同期と行動によって変化するので、極めて重要である。メソスコープの目的は、複雑で認知的に要求が厳しい行動にマウスが取り組んでいるときに、その大脳皮質の全範囲を細胞解像度で活動を計測することである。蛍光顕微鏡は、生体構造やダイナミクスの研究に一般に使用されているが、ほとんどの顕微鏡は、視野、解像度、システムの複雑性の間にトレードオフがある」とYangは説明している。「顕微鏡の制約を克服するために、ボストン大学のTian 教授と研究グループは、コンピューテーショナル小型顕微鏡(CM2)を開発した。これは、高い空間解像度と大きな視野の両方を備えている。同装置は、コンピュータイメージングをベースにしており、イメージングハードウエアとコンピュータアルゴリズムを統合して、他の方法では不可能なイメージング機能を達成している。
研究チームは先頃、新しい小型オプティクスを追加することでそのメソスコープをアップグレードした。これにより光スループットと画像コントラストが大幅に改善された。チームは、軸分解能と再構築スピードを著しく改善する新しいディープラーニングモデルも開発した。結果としてのシステムは、市販の、また3Dプリントされたコンポーネントを利用することで簡素でローコストである。
ハードウエアアップグレードに含まれるのは、透明レジンとテーブルトップ3Dプリンタで製造された自由形状オプティクスベースの微小LEDコリメータを含む。各々がわずか0.03グラムの、新しいコリメータを装置の4ーLEDアレイイルミネータに加えることで、光効率は約80%に達した。このアップデートは、直径8ー㎜円形、最高75mW励起パワーの強い閉込め均一照明ともなっている。研究チームは、干渉フィルタと吸収フィルタを組み合わせた新しいハイブリッドエミッションフィルタを組み込むことで画像コントラストを増強した。
新しいディープラーニングモデルは画像形成のコンピューテーション面を最適化して、広い視野で高品質3Dイメージングを可能にする。そのアルゴリズムは、軸分解能を約25µmに強化した。以前、再構築に使用していた方法より約8倍優れている、一方で7㎜視野、0.8奥行きのボリュームで、再構築時間も4秒に減らしている。
「今後の仕事は、組織の散乱という大きな問題への対処に焦点を当てている。われわれは、小型構造化照明技術や散乱組込3D再構築フレームワークのうよな、有望なソリューションを探求しCM2の有用性を拡大することを考えている」とYangは付け加えている。