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Science/Research 詳細

LPBF使用、再吸収可能な患者特化インプラント

August, 3, 2023, Aachen--BioStructプロジェクトの一環としてアーヒェンの医療技術イノベーションエコシステムは、患者に特化したインプラントのさらなる開発研究を行っている。目標は、身体に再吸収され、患者の個々の要件に適合できること、したがって、最適化された治癒プロセスを促進すること。
この目的にために、RWTH Aachen University Chair Digital Additive Production DAPは、新しい亜鉛ーマグネシウム合金のための積層造形(AM)プロセスを開発している。これは、レーザ粉末床溶融(LPBF)を使ってのみ製造できる革新的格子構造と組み合わせる。プロジェクトの結果は、reACT Allianceに移転される。同アライアンスは、2022年下半期に、未来のインプラントについての学際的研究をすでに始めている。

チタン、サージカル・スチール、自己骨グラフト、患者自身の骨からできた移植の永久インプラントは、骨欠損の治療で最も普通に使われるソリューションである。しかし、それらは、患者に優しい治癒プロセスの複雑な要件を部分的に満たすことができるだけだ。永久インプラントの機械的特性は、周辺骨組織への応力軽減につながり、それを弱め、再骨折のリスクを高める、骨組織自体は、治癒することはない。加えて、体内長期保持は、さらなる外科的介入のリスクを高める、とくに高齢者の場合だ。自己骨移植は、周辺骨組織の自己回復を促進し、したがって、最適な治療結果につながるが、それらは一定量の欠損にのみ使用できる。今日までのところ、いわゆる臨界サイズの骨欠損は、複雑な医学的問題を引き起こす、つまり欠損骨量が大きく、自由な骨端間距離のために、これらの欠損では自然治癒は不可能である。それを念頭に、BioStructコンソーシアムのパートナーは、生体再吸収インプラントコンセプトを開発している。その材料特性と形状設計は、患者に優しい骨治癒の複雑な要件を満たす。課題は、身体とレーザ粉末床溶融(LPBF)積層造形技術で加工可能な材料と形状の選択にある。それが、そもそも、そのコンセプトを実行可能にするのである。

亜鉛、マグネシウム、あるいは両方
特に、亜鉛とマグネシウム合金は、再吸収可能骨インプラントの領域で有望な成果を示している。再吸収可能金属合金の開発コンテクストで、ピュア亜鉛(Zn)は、人体における十分な分解特性で特徴付けられている。とは言え、その機械的強度は、インプラントとしての用途には十分ではない。一方、マグネシウムは、足の外科手術などで、すでにインプラント製造の材料として使用されている、それが骨のような機械的特性を有しているからである。しかし、特殊なアプリケーションでは、それは体内で分解が速すぎる、また組織の湿潤環境ではガスが発生しうる。こうした理由から、研究チームは、これらピュア金属の様々な合金合成物を研究している。両者の特性を効果的に組合せ、LPBFによる加工可能性とともに体内で利用するためである。

患者に特化したインプラントのアルゴリズム設計
LPBFは、インプラント設計には全く新しい設計の可能性を提供する。これにより、アプリケーション側の機械的応力や腐蝕挙動など、患者に特化した要件を一層満たすことができる。革新的なアプローチは、アルゴリズム格子構造設計にある。所定の要件に基づいて、個々のストラット、格子セルの形状や配列はパラメトリック生成され、結果としての格子構造は、骨欠損部位に適合され、LPBFを用いる製造が準備される。このコンテクストではストラット径は重要パラメタである。格子構造設計への調整により、コンポーネント全体に均一な腐蝕が可能になり、インプラントが身体に吸収されるにともない、分解物の一掃、組織の同時内方成長が可能になる。

初のデモンストレータ製造成功
研究では、研究者は、少量のマグネシウムを亜鉛に加えることで結晶粒微細化、標的を絞った微細構造調整を達成できた。様々なコンポーネントの幅広い合金スクリーニング、純亜鉛からZn8Mg合金までで, ≤ 1 wt-%マグネシウムを含むZnMg合金が、骨代替製品としての利用にベストの特性を示した。格子構造顎骨インプラントの形での最初のデモンストレータは成功し、このZnMg合金から再現性よく製造された。デモンストレータで使われた格子構造のストラット径は200µmである。ZnMgの生体適合性研究のために追加の構造が、LPBFで作製された。将来、これらの構造は、コラーゲン、フィブロインなどの材料の浸透に安定したフレームワークを形成することを目的にしている。

(詳細は、https://dap-aachen.de/en/the-implant-of-the-future)