August, 2, 2023, Washington--ニュージーランドの研究者は、抗生物質に耐性がある大腸菌(エシェリキア・コリ)を同時に2つの異なる波長の光で照射することで不活性化できることを示した(J. Appl. Microbiol., doi: 10.1093/jambio/lxad124)。
デュアル波長技術は、水、空気、表面を消毒するために一般に利用されるUVランプと同じ抗菌力であるが、この場合は、2周波数は、人の健康への危険性が遙かに少ない。
安全な殺菌
E.coliバクテリアは、ESBL-Ecとして知られており、これは従来の抗生物質で処理できない、いわゆるスーパーバッグの一つであり、数が増えている。感染リスクを減らすには、一般的な汚染源、病院、水処理プラントや調理施設などを耐性変異体が出ないように消毒する必要がある。
デュアル波長レジメンは、405nm動作のブルーLEDsと遠紫外222nmのUV光を組み合わせている。対照的に、従来のUVランプは、254nmで照射し、これは反復、あるいは長期露光後、人の組織、特に皮膚や眼を損傷することで知られている。
効果があり耐性がある
研究チームは、その2波長の組合せが、微生物の活動を始動する様々なメカニズムを破壊することで、全般的な効果が向上することを確認した。その同じ方法が、抗生物質治療に反応する別のE.coli変異体を不活性化することも示し、デュアル波長技術は、幅広い範囲の有害な微生物と闘うために使えることを示唆している。「エンドユーザの安全性が最も重要な多くのアプリケーションでこれら2波長光の利用には、大きな可能性がある」と、この研究に携わったAgResearch Ltd.,のAmanda Gardner, はコメントしている。
とは言え、研究チームは、ESBL-Ecが、亜致死レベルで繰り返し照射後に光に耐え始めることも確認した。抗生物質の影響をうける変異体では観察されなかった効果だった。Gardnerによると、ESBL-Ecが示した光耐性が遺伝子変化によるものかどうか、ある他のメカニズムが働いているかどうかを理解するためにさらなる研究が必要である。「他の抗菌バクテリアにおける光耐性の発展を研究すること、光耐性を生み出す遠UV-C光の最小量を決めることも重要である」と同氏は、付け加えている。