August, 1, 2023, Washington--ノースウエスタン工科大学(Northwestern Polytechnic University)の研究チームは、燃焼中に生ずる複雑な乱流炎を捉える新しい方法を開発した。この高速3Dイメージングアプローチによる洞察は、自動車、航空機、工場、発電所における、より効率的でクリーンな燃焼システムの開発に利用できる。
中国、ノースウエスタン工科大学、Qingchun Leiは「われわれが開発した高速イメージングアプローチは、炎のダイナミクス、着火プロセス、燃焼挙動を詳細に洞察する」とコメントしている。「これにより、燃焼効率、汚染物質排出、エネルギー製造プロセスの最適化の洞察が可能になる。これは、発電所、エンジン、他の燃焼機器の設計と運用の改善に使え、環境への影響を減らし、エネルギー効率の向上につながる」。
Optics Lettersで研究者は、新しい技術について説明している。これは、シュリーレンイメージングに高速画像再構成と3D情報を加えたものである。シュリーレンイメージングは、流体現象のイメージングと計測で十分に確立された技術。新技術は、乱流炎の3D密度と速度分布を定量的に取得するために使える。
「この技術により容易になった炎挙動と点火プロセスの詳細理解は、より効果的な火災安全対策にも貢献する。火災がどのように広がり、発展し、抑制されるかについての情報が提供されるからである。これは、防火戦略の強化、ビルの設計改善、より効率的な火災抑制システムの開発に使える。これは、究極的には、人命救助、財産の保護、全般的な火災安全基準の改善に役立てられる」。
スピードと多重視点の追加
乱流燃焼は非常に動的で、事実上3Dであるので従来のシュリーレンイメージングのような計測法を使ってそれを定量的に十分に捉えることは難しい。この問題を解決するためにチームはね3つのイメージング法を組み合わせた。ファイバイメージング、シュリーレンイメージング、コンピュータ断層撮影(CT)。
新技術は、一連のファイババンドルを使って、様々な角度からの炎情報を含む光を伝送する。光線の各角度は、Toeplerのレンズタイプシュリーレンシステムを形成する。これは、標的炎の密度変化をイメージングできる。CTは、一般に医療イメージングで使われており、これを使って3Dシュリーレン画像を再構成した。最後に、3Dシュリーレン画像の後処理を利用して3D密度と速度情報を取得する。
「ファイバイメージングは、柔軟で費用対効果の優れた方法で多重視点からの高速、同時シュリーレンイメージングを可能にする、一方CTを加えることで、多角2D画像に基づいた標的炎の3D再構成が可能になる。結果としての高速3Dシュリーレンイメージング技術は、数10Hzを超えるフレームレートを達成。これにより、素早く変化する炎現象を並外れた時間分解能で捉えることができ、一時的炎イベントを詳細に洞察できる」(Lei)。
複雑な炎ダイナミクスを捉える
高速シュリーレンイメージングアプローチの効果とパフォーマンスを評価するためにチームは、乱流と層流予混合火炎、一時的点火プロセスについて実験を行った。実験セットアップは、1台の高速カメラ、2つのキセノンランプ、一連のファイババンドルを含む。ファイババンドルは、異なる7方向から炎の画像を同時に捉えるように設置された。一方、カメラは、高いフレームレートで画像を記録した。実験セットアップは、他の技術で使用される、より複雑で特殊な装置、レーザなどと比べて、比較的安価である。
実験結果は、高速3Dシュリーレンイメージングアプローチは、炎ダイナミクス、構造、点火プロセスの取得と計測に成功したことを示している。
研究チームは、同技術の実用化と商用化の可能性を強化するために取り組んでいる。これには、幅広い範囲の炎条件と構成でその堅牢さと信頼性をテストすること、画像処理と再構成アルゴリズムの最適化が含まれる。チームは、システム組込と自動化を改善し、セットアップのさらなる簡素化も考えている。