July, 31, 2023, 和光--理化学研究所(理研)放射光科学研究センター 理論支援チームの玉作賢治 チームリーダー、東芝ナノアナリシス株式会社物理解析技術センター 表面・材料分析技術ラボの田口宗孝 参事、高輝度光科学研究センター XFEL利用研究推進室 実験技術開発チームの犬伏雄一 主幹研究員らの共同研究グループは、X線自由電子レーザー(XFEL)施設「SACLA]」を用いた新しい非線形分光法を考案し、これまで1次元的にしか測定できなかった蛍光X線スペクトルを2次元に拡張することに成功した。
この研究成果により、蛍光X線スペクトルから得られる電子状態に関する情報が格段に増え、物理・化学・生物で起こるさまざまな反応過程の理解が深まると期待できる。
今回、共同研究グループは二つのX線光子を一つずつ吸収する非線形光学過程を、電子状態を調べる強力な手法である共鳴非弾性X線散乱に組み合わせることで、これまでにない新しい非線形光学過程、すなわち「非線形共鳴非弾性X線散乱」を実現した。さらに、これを使って測定された励起と発光の二つの光子エネルギー情報を持つ2次元蛍光X線スペクトルでは、これまで重なり合って混然としていた複数のスペクトル成分を分離可能で、そこから電子状態に関してより詳細な議論ができることを示した。
研究成果は、科学雑誌『Nature Communications』オンライン版(7月17日付)に掲載された。
(詳細は、https://www.riken.jp)