昆虫の多様性をハイパースペクトルLiDARでモニタ

July, 21, 2023, San Francisco--ハイパースペクトルLiDARは、翅干渉パタン分析により、昆虫の多様性のリアルタイムモニタリングに革命的なアプローチを提供する。

昆虫の減少は、われわれのエコシステムを脅かす
昆虫は、われわれのエコシステムで重要な役割を果たしている。作物の受粉、分解、栄養の再循環に役立っている。しかし、われわれは、昆虫の数、種の多様性の両方で減少を目の当たりにしている。

この減少の主要な理由は、生息地損失、殺虫剤利用、気候変動。地球全体でわれわれは､昆虫とその生息地を保護する戦略を実施し、われわれが成功するかどうかを追跡する。

“Halt biodiversity loss”は、国連の世界目標の一つである。しかし、自由に飛び回る昆虫をどのように数え、分類するか。

自由に飛び回る昆虫の数え方
1平方kmの中で全ての昆虫を捕らえ、数え、全ての種を判定する。全く簡単ではない。
マシンビジョンや分布センサも昆虫の観察に使える。しかし、焦点の問題やモーションブラーなどの課題が生ずる。昆虫の動きが速く、モニタする領域が大きいからだ。画像に依存するのではなく、昆虫が飛ぶ時の音に基づいて昆虫を分類することができる。これは、焦点とモーションブラーの問題克服に役立つ。

スウェーデン、ルントのチームは、ハイパースペクトルLiDAR(Light Detection and Ranging)ソリューションを開発した。これにより昆虫を数え、時間内および同時間の羽ばたきを解明，種を区別するためにサブミクロンの翅のスペクトル干渉を解明する。

翅の干渉パタンを使い昆虫を分類
ハイパースペクトルLiDARは、レーザ光を発し、1D、2D、あるいは3Dマップを作る、プローブボリューム内の各点は、多数の光波長からの後方散乱強度を含んでいる。昆虫モニタリングの場合、通常1D横切開が利用される。昆虫は、固定レーザビームを通過する、それが昆虫までの距離と反射スペクトルを記録する。

昆虫の翅は薄い膜である。レーザ光が昆虫の翅に当たると、その最初の面から反射する光があり、翅を透過した後に二番目の表面から反射するものもある。これが、翅干渉パタンというパタンを作る。それぞれの種が、特定の羽ばたき周波数と翅干渉パタンの両方を持っており、これらを利用して昆虫を区別できる。これにより、自然の生息地で自由に飛び回る数100の昆虫の種を区別することができる。

研究グループは、翅の異質性、翅の厚さを10nm精度で計測できるデバイスを開発し、それをモデルに統合した。これは、昆虫を識別する全く新しい方法を実現するために翅の動き方を説明している。

現在の方法は、600ハイパースペクトル・エコー/秒のスピードで数100mで、全ての昆虫を検出できる。

赤外LiDARと分光法が高精度を保証
光学的な焦点ボケを回避するために、昆虫は翅ばたき周波数、周波数ドメインの倍音スペクトルに基づいて分類できる。昆虫の翅からの共鳴後方散乱は、縞模様のスペクトルを生成する、これは種の特異性を高める。

研究グループは、分光学と赤外LiDARを組み合わせて､長距離で昆虫からの小さな特徴を収集した。研究者は、弾力性のあるScheimpflug LiDARを使って距離、時間、波長に関して昆虫の翅からの閃光を解明した。従来のLiDARシステムと比較して、Scheimpflug LiDARは、より広い視野で焦点と精度が優れている。

環境モニタリングにも適している
すでに見たように､ハイパースペクトルLiDARは昆虫の観察を変革する可能性があり、環境モニタリング分野の他の分野、植生キャノピー分析、大気粒子、ガスセンシングなどにアプリケーションがある。