July, 20, 2023, Eindhoven--緑内障は、不可逆な失明の原因となり得る眼の病気で、世界的に大きな健康問題となっている。
緑内障は眼液体集積が原因であり、これが眼の圧力を高める。すると、この圧力は、視神経損傷、失明に至る。その圧力は目薬かレーザ治療で低下できるが、手術は液体を排出し、より効果的に圧力を下げる。しかし、後に合併症が起こる可能性がある。Ph.D学生、Inês Figueiredo Pereiraは、画期的な侵襲性が少ない、スマートな緑内障インプラントを開発した。これは、術後の合併症の数を減らす可能性がある。
緑内障は、処置しないと、また診断が遅すぎると、永久失明に至る病気で、患者は世界で約8000万人。全ての年齢の人々に影響するが、一般に70歳以上の高齢者に影響する。
疾患は、主に眼圧上昇(IOP)が原因。これは前房内に体液がたまるためである。この圧力は、点眼剤またはレーザ処置で下げられるが、余分な液体を眼から放出するための最も効果的な方法は今でも手術である。しかし、合併症が起こることがよくある、キズ、眼内圧が低くなりすぎる低眼圧症など。
Inês Figueiredo Pereiraは、「手術は、緑内障治療の最も効果的な方法ではあるが、潜在的な合併症のために、それはリスキーな処置である」と指摘する。同氏は、機械工学部マイクロシステムグループ、Ph.D研究者。「したがって、侵襲性の少ない処置が術後の合併症の可能性を下げ、術後結果を改善する」と話している。
改善されたインプラントの必要性
最初、Figueiredo Pereiraは、現在のインプラントオプションの改善案が欲しかった。「緑内障治療のために市場にあるデバイスを調べた。主な発見は、現在のインプラントは、術後IOPのコントロールができないので、合併症があること」。
実際、これらのインプラントは、眼からの液体流出に対する確かな抵抗力となるが、Figueiredo Pereiraにとっては、合格ではない。「眼で健康なIOPを維持するために液体排出を調整できないインプラントは、患者にとって、後にさらなる問題につながるだけだ」。
磁気オプション
研究のために、次にFigueiredo Pereiraは、緑内障患者のIOPを調整するために調整可能な流体力学抵抗を備えた緑内障インプラント使用の可能性を調べるために数値シミュレーションを行った。「シミュレーションの結果は、貴重な洞察だった。非侵襲的な磁気活性化緑内障インプラントの開発を可能にし、インプラント後でも、様々なIOP症状に繰り返し調整可能なインプラントである」(Figueiredo Pereira)。
調整は、インプラントに磁気マイクロバルブを組み込むことで達成される。これは、液体チャネルの開閉ができるので、必要な時にインプラントの流体力学的抵抗を変えることができる。「このバルブシステムにより、IOPは、患者の必要性に応じて調整できる」とFigueiredo Pereiraは、コメントしている。
生分解性オプション
磁気制御緑内障液体排出システムだけではなく、Figueiredo Pereiraは、新しい生分解性で侵襲性の少ない緑内障インプラントも開発した。これは、人体にインプラントできる世界最小の医療デバイスGlaukos社のiStent INject Wと同程度のサイズである。「Glaukosのインプラントは、金属性の永久インプラント。われわれのデバイスは、そのインプラントからヒントを得たが、金属の代わりにポリマ材料(ポリカーボネートディスアミド、PC-BA)を使う。これは生分解性である」と同氏は、説明している。
「われわれのインプラントが、ゆっくりと分解し、時間と共に身体で吸収されるとわれわれは考えている。残るのは、液体排出のための自然の経路だ。この生分解性緑内障インプラントは、より自然な方法で流出を回復するための有望な新しいアプローチを提供する」(Figueiredo Pereira)。
重要な点は、Figueiredo Pereiraとチームが開発したデバイスは、iStent Inject Wのようなデバイスよりも遙かに侵襲性が少ないこと。「それは、組織切開の必要性が遙かに少なく、眼の中に設置できる。眼から余分な液体を除去する主目的を果たしながら、眼内圧を減らすことができる」(Figueiredo Pereira)。
心躍る可能性
Figueiredo Pereiraの研究の一環として開発された磁気ベース生分解性ポリマベースインプラントは、IOPを減らすと言う点では、市場にある現在のデバイスよりも潜在的に安全で、遙かに効果的である。さらに、そのインプラントは、緑内障と関連の視覚野喪失の進行を止め、緑内障患者のQoLを強化する。