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3Dラボ培養ミニ腫瘍、ガン治療への反応を予測

July, 13, 2023, Los Angels--UCLAガンセンタ(Jonsson Comprehensive Cancer Center)の研究者は、微小腫瘍オルガノイドをバイオプリントする新しい方法を開発した。
これは、実際の腫瘍の機能構造を模擬するように設計されている。改善されたプロセスにより研究者は、最先端のイメージング法を使って、個々のオルガノイドを極めて詳細に調べ、分析することができる。これは、珍しい、あるいは治療が難しいガンの患者のための個人化治療特定に役立てられる。

その方法は、Nature Communicationsに発表されている。

「腫瘍オルガノイドは、腫瘍生物学を研究し、個々の患者の薬物過敏症を際立たせるための基本的なツールになっている」とAlice Soragni、Ph.Dはコメントしている。同氏は、UCLA、David Geffen School of Medicine、 Orthopaedic Surgery学部、准教授、UCLA Jonsson Comprehensive Cancer Centerのメンバー。「とは言え、われわれは、まだ、もっとよい方法を必要としている。細胞小集団に耐性が現れるかどうかを期待しているからだ。これは、従来のスクリーニングアプローチを使っては、検出できな可能性がある。この点は本当に重要である、特にオルガノイドベースの薬剤予測が臨床的に利用され始めたからである」。

これらの微小腫瘍、つまりオルガノイドは、細胞株または患者自身の細胞を使ってラボで成長させることが可能である。目的は、人の生物学と病気の理解向上。患者の腫瘍を再現することで、研究者は、様々な薬剤をテストし、その患者にとってベストの治療を選択することが容易になる。

これらミニ腫瘍が薬剤モデリング改善に役立っており、可能性のある薬剤の有効性と安全性のテストのための貴重なツールになっているが、根本的な腫瘍の不均一性を捉えるには、現在のモデルは、まだ難しい。腫瘍の不均一性は、治療に対する臨床的に観察された耐性を活発にすることがよくあるからだ。このアプローチの主な限界の一つは、現在の方法が、オルガノイドサンプル内の変化、差を捉えられないことである。この点は、臨床設定で観察される治療に対する耐性に関わる可能性がある。

これらの課題を克服するために研究チームは、バイオプリンティング技術を使って薄いサポート層の細胞外タンパク質に細胞をプリントする方法を考案した。これにより、組織の組織学や遺伝子発現を変えることなく3Dミニ腫瘍が得られる。チームは、バイオプリントした細胞と、高速ライブセル干渉法(HSLCI)を組み合わせた。HSLCIは、イメージングシステムであり、生きた細胞の重さをリアルタイムで観察、計測するために使用される非破壊アプローチ。これらの方法は、次にマシンラーニングアルゴリズムと組を組合せ、個々のオルガノイドを分析、計測する。

「この方法を利用することで、われわれは、数千のオルガノイドを正確に同時計測できる」とDr. Michael Teitellは、説明している。同氏は、UCLA Jonsson Comprehensive Cancer Centerディレクタ、研究の共同シニアオーサ。「この情報は、どのオルガノイドが、特定の治療に感度があるか、また耐性があるかを特定する際に役立つ。これは、患者にとって最も有効な処置を迅速に選択するために利用できる」。

新しい方法の組合せにより研究チームは、バイオプリントした腫瘍細胞の成長パタンを時間経過とともに計測し、細胞が異なる薬剤あるいは治療にどう反応するかを確認した。

「計測は、オルガノイドを損傷したり、破壊したりすることなく行われ、その成長と薬剤に対する反応を非侵襲的に分析できた」(Teitell)。

研究チームは、治療を行ってから6時間で、細胞に対する特定の薬剤の効果を判断することができた。また、その薬剤に反応を示さない細胞小集団を特定した。大部分は、治療に反応した細胞で構成される非常に均一な細胞株サンプル内でも特定した。

「この新しいパイプラインは、われわれが病気の3Dモデルの薬剤スクリーニングから得られた情報の品質と深さを強化した。われわれは現在、治療が困難な、珍しいガンから確証されたオルガノイドにそのアプローチを適用しようとしいる」(Soragni)。

研究チームは、新しい治療法を発見するためにその新しいアプローチを利用し、最終的には、個人化治療戦略を開発する。