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Chat-GPT設計ロボットを公開

July, 13, 2023--EPFL研究者は、Chat-GPTー3を使ってトマト収穫のためのロボットグリッパーを開発した。ロボット設計でヒトと協働する人工知能ツールの初のデモンストレーションである。

広大なテクストデータを処理する能力、この情報を利用して即時に答える能力により、Chat-GPTのような大規模言語モデル(LLMs)が、メディアで大きく取り上げられている。われわれが書く、学習、芸術作品の作成でさえ、やり方を変える可能性がある。今回、EPFLの研究者は、その技術を新しい領域、ロボット設計に適用した。

Nature Machine Intelligenceに発表されたケーススタディで、EPFL工学部Computational Robot Design & Fabrication Lab 長、Josie Hughes、EPFLPh.D学生Francesco Stella、TU Delft、Cosimo Della Santinaは、Chat-GPTを使って作業用ロボットトマトハーベスタを設計した。研究は、そのような協働デバイス設計のための人とLLMsのフレームワークを提供する。チームの経験に基づいて、研究チームは、人工知能をロボット工学に適用する機会とリスクを説明している。チームによると、それはわれわれがロボットを設計する仕方を変え、同時にプロセスを補強し、簡素化する」。

Chat-GPTは、言語モデルであり、そのコード生成はテクストベースではあるが、それは物理的設計に重要な洞察と直感を提供し、人間の創造性を刺激する共鳴板としての大きな可能性を示した」(Hughes)。

「発明者」としてのAIの可能性と落とし穴
最初のフェーズでは、研究チームとLLMは、「概念化」議論に取り組んだ。ロボットの目的、設計パラメタ、および仕様を規定するためである。第2フェーズは、実世界のロボットの実現に専心した。これは、LLM生成コードの洗練、デバイスの作製、その機能のトラブルシューティングが必要だった。

最初のフォーズで研究チームは、高度な概念レベルで始めた。人間への将来的問題についてLLMと話し、世界の食糧供給問題へのソリューションとしてロボット作物収穫を確認した。次に、学術出版物、技術マニュアル、書物、メディアからのLLMのグローバルデータアクセスを利用し、「ロボットハーベスタは、いかなる機能を持つべきか」などを思いつかせるために「最も可能性の高い答」を提供した。

基本的なロボットフォーマット(熟したトマトをつかむためのモーター駆動グリッパ)が確定されると、チームは、「グリッパは、どんな形状であるべきか」などさらに特殊な問題を問い、材料やデバイスを制御するためのコンピュータコードを含む技術的な提案をするようにLLMに依頼した。

「技術的実装でエンジニアを支援するためにコンピュテーションが、初めて、大いに利用されているが、AIシステムは、新しいシステムを概念化する、したがって、高度な認知的作業を自動化する。これは、人間の役割をより技術的な役割に変えることに関与する」とStellaは、コメントしている。

Chat-GPTに「発明者」の役割を割り当てるだけでなく研究チームは、論文の中で他の可能な人間ーLLM共同モードを説明している。例えば、「共同探求」はAIを使って、分野を超える幅広い知識を提供することで研究者の専門技術を増強する。AIは、「ファネル」(煙突)としても機能し、設計プロセスの改善に役立ち、人間が創造的なコントロールを維持しながら、技術的インプットを提供する。

各共同モードに関連する論理的、倫理的リスクがあるので研究チームは、LLMsの利用は、事前に慎重に評価されなければならないと警告している。例えば、LLMsの利用は、偏見、盗用、知的所有権の問題を引き起こす、LLM生成設計が斬新と言えるかどうかは分からないからである。

「われわれの研究では、Chat-GPTは、ロボットハーベスタにとってトマトは‘most worth’(最も価値ある)作物と同定された。とは言え、これは、文献で取り上げられることが多い作物への偏った見方の可能性がある、本当に必要なものと違っているからである。エンジニアの知識の範囲外で決定が下されるとき、これは、大きな倫理的に、エンジニアリング、あるいは事実誤認になり得る」(Hughes)。

こうした警告にも関わらず、研究チームは、経験に基づいて、LLMsが、うまく管理すれば、役に立つ力になる大きな可能性があると結論づけている。