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Science/Research 詳細

ナノマグネットでスピンダイナミクスエンジニアリングマニュアル

July, 13, 2023, Riverside--カリフォルニア大学リバーサイド(UCR)、ウクライナ、Kyivの磁気研究所の国際研究チームは、ナノマグネットでスピンダイナミクスを設計する包括的なマニュアルを開発した。これは、スピントロニック、量子情報技術の進歩に向けた重要なな一歩である。

小サイズにもかかわらず、ほとんどのスピントロニックアプリケーションに見られるナノマグネットは、スピン励起のリッチなダイナミクス、“magnons,”スピンゆらぎの量子力学的単位を明らかにしている。そのナノスケール閉込めによりナノマグネットは、個別のマグノンスペクトル、原子のスペクトルに類似したゼロ次元システムと考えられている。

UCR物理学&天文学准教授、Igor Barsukovは、「マグノンは、相互作用するので、非線形スピンダイナミクスを構成する」と言う。同氏は、Physical Review Appliedに発表された研究の責任著者。論文「非線形スピンダイナミクスは、スピントルクメモリ、振動、ニューロモルフィックコンピューティングなどスピントロニック技術の性能改善のための主要課題、大きなチャンスである」。

Barsukovの説明によると、マグノンの相互作用は、一連のルール、選択ルールに従う。研究者は、現在、磁化配置の対称性およびマグノンプロファイルに関して、これらのルールを前提にしている。

新しい研究は、次世代コンピュテーション技術のためにナノマグネットを利用できるようにする取組を継続する。以前の発表でチームは、マグノン相互作用の設計に対称性が使えることを実験的に実証した。

「われわれは、チャンスを認識しただけでなく、選択ルールを理解し、定式化するには非常に多くの研究が必要であることに気づいた」(Barsukov)。

研究者によると、包括的な一連のルールが、マグノン相互作用の背後にあるメカニズムを明らかにする。

Arezoo Etesamiradは、「それは、ナノマグネットデバイスのデバッグと設計のためのスピントロニクス研究所ガイドと見なしうる」と言う。同氏は、論文の筆頭著者、Barsukovラボで研究し、物理学博士号を得て最近卒業した。「それは、チューナブルマグネットニューロン、切替え可能なオシレータ、エネルギー効率のよいメモリ、量子マグノニックおよび次世代ナノマグネットアプリケーションのための実験用ツールセット開発の基盤となる」。

BarsukovとEtesamirad は、UCR のRodolfo Rodriguez の研究、ウクライナ、KyivのJulia Kharlan and Roman Verba of the Institute of Magnetismに属する。
(詳細は、https://insideucr.ucr.edu)

論文
“Controlling selection rules for magnon scattering in nanomagnets by spatial symmetry breaking.”