July, 7, 2023, 名古屋--豊田工業大学 レーザ科学研究室 藤貴夫教授、趙越ポストドクトラル研究員 (現 室蘭工業大学 准教授) と名古屋工業大学 大学院工学研究科 工学専攻 (生命・応用化学領域) 古谷祐詞 准教授らは、高速に中赤外ハイパースペクトルイメージングを行う画期的な手法を開発した。
中赤外ハイパースペクトルイメージングとは、波長ごとに画像を取得する分光技術であり、がん組織の高速診断や、自然界の生物に取り込まれた汚染物質の追跡、検体組織中の薬物分布測定、化学反応の分子レベルでの解析など、幅広い分野への応用が期待されているが、これまでの性能を桁違いに高める技術を開発した。
研究成果は、2023年7月4日 (日本時間)、英国 Nature Publishing Group のオンライン科学雑誌「Nature Communications」に掲載された。
発表のポイント
・従来の中赤外ハイパースペクトルイメージングでは、可視光領域と比較し、光源と検出器の性能が低いため計測に膨大な時間を要していたが、今回飛躍的に性能を高め、計測時間を桁違いに短縮することに成功
・約10フェムト秒 (10-15秒) の極限的に短い中赤外光パルスを光源とすることで、中赤外光を容易に可視光に波長変換し、高性能な可視光領域のカメラで計測する技術を確立
・これまで中赤外イメージングでは難しかった植物細胞における成分の分布を測定し、細胞の核の位置を染色せずに特定
・短時間での大量のデータ取得や、試料の動的な変化の測定が可能になり、医療、環境、化学、薬学などの広い分野への応用に期待
(詳細は、https://www.toyota-ti.ac.jp)