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チップベースQKD、高い伝送速度達成

July, 6, 2023, Washington--スイスのジュネーブ大学の研究者は、安全な鍵を前例のないスピードで伝送できる集積フォトニクスベースの量子鍵配送(QKD)システムを開発した。概念実証実験は、この高度に安全な通信法の実世界応用に向けた重要な一歩である。

QKDは、離れた当事者間で安全な通信のための秘密鍵を提供する十分に確立された方法である。データの暗号化と解読のために安全なランダムキーを生成するために光の量子特性を使うことで、その安全性は、今日の通信プロトコルのような計算の複雑性ではなく物理法則に基づいている。

「QKD技術の重要な目標は、それを実世界の通信ネットワークに簡単に組むことである」とジュネーブ大学の研究チームメンバーであるRebecka Saxは、話している。「この目標に向けた重要かつ必要なステップは、集積フォトニクスの利用である。これにより光学システムは、シリコンコンピュータチップを作製するために使われるのと同じ半導体技術を使って製造できるようになる」。

Photonics Research誌では、ジュネーブ大学のHugo Zbindenがは、レーザとディテクタ以外の全てのコンポーネントがチップに集積されているチームの新しいQKDシステムについて説明している。これは、コンパクト、低コスト、量産しやすさなど、多くの利点をもたらす。

「QKDは、銀行取引、健康および防衛など機密性の高いアプリケーションにセキュリティを提供するが、それは、まだ広く普及した技術ではない」(Sax)。「この研究は、その技術の成熟の正当性を示し、光集積回路によりそれを実行する専門技術の取扱に資するものである。これによりわれわれは、ネットワークおよび他のアプリケーションへの組込みが可能になる」。

より高速なチップベースのシステム構築
以前の研究では、研究チームは、3ステート・タイムビンQKDプロトコルを開発した。これは、記録的な高速でQKD伝送を達成するために標準ファイバベースのコンポーネントで実行された。

「この新しい研究におけるわれわれの目標は、集積回路を使って同じプロトコルを実行することであった。集積フォトニックシステムのコンパクト、ロバスト、操作しやすさが、安全な通信のための技術としてQKDの位置を改善する。ネットワークで実行、トラブルシューティングの際に検証するコンポーネントが少ないからである」。

QKDシステムは、トランスミッタを使ってエンコードされたフォトンと、それらを検出するレシーバを送る。新しい研究では、ジュネーブ大学の研究者は、独シリコンフォトニクス会社であるSicoyaとジュネーブの量子サイバーセキュリティ会社のID Quntiqueと協力して、シリコンフォトニクストランスミッタを開発した。これは、フォトニック集積回路と外部ダイオードレーザを組み合わせている。

QKDレシーバは、シリカでできており、フォトニック集積回路と2つの外部シングルフォトンディテクタで構成されていた。伊CNR Institute for Photonics and Nanotechnology のRoberto Osellmeのグループは、レシーバ作製にフェムト秒レーザマイクロマシニングを使用した。

「トランスミッタは、フォトニックおよび電子集積回路の外部レーザの利用により、2.5GHzの記録的速度でフォトンを正確に生成し、エンコードできた」(Sax)。「レシーバは、低損失、偏波無依存フォトニック集積回路と一連の外部ディテクタにより、パッシブで簡素な、伝送フォトンの検出が可能になった。これら2つのコンポーネントを標準シングルモードファイバ(SMF)で接続することで秘密鍵の高速生成が可能になった」。

低損失、高速伝送
集積トランスミッタとレシーバの評価を完全に行った後、研究チームは、それを使って、様々なシミュレートされたファイバ長を使い、150km長のSMF、実用的実装に最適なシングルフォトンアバランシュPDにより秘密鍵交換を行った。チームは、シングルフォトン超伝導ナノワイヤディテクタを使った実験も行った。これにより、量子ビットエラーレートは、低い0.8%が可能になった。レシーバの特徴は、集積フォトニクスを使った達成が複雑な偏波無依存であるとともに、3dB程度の極めて低損失だった。

「秘密鍵レートの生成と量子ビットエラーレートに関して、これらの新しい実験は、ファイバベースのコンポーネントを使用して行われた以前の実験の結果と類似の結果だった。しかし、QKDシステムは、以前の実験セットアップと比べるとはるかに簡素で実用的であるので、集積回路によるこのプロトコルを使用することの実現可能性示している」(Sax)。

研究チームは、QKDがネットワークシステムで実行できるように、これらのシステム部品を簡素なラック筐体に収容しようとしている。