July, 5, 2023, Michigan--University of Minnesota Twin Cities主導チームが、新しい超伝導ダイオードを開発した。これは、産業用途の量子コンピュータのスケールアップ、人工知能システムのパフォーマンス改善に役立つ。
論文は、Nature Communicationsに発表された。
ダイオードは、電気回路では、電流を一方向へ流すが、他の方向へは流さない。それは、本質的にトランジスタの半分として機能する。これは、コンピュータチップの主要素子である。ダイオードは、一般に半導体でできている、ほとんどのエレクトロニクスやコンピュータの基盤を形成する電気特性を備えた物質である。とは言え、研究者は、超伝導でそれらを作ることに関心を持っている。超伝導は、さらに、経路でパワーを失うことなく、エネルギーを転送できる。
他の超伝導ダイオードと比較して研究チームのデバイスは、エネルギー効率が優れており、一度に多数の電気信号を処理できる、また、エネルギーの流れをコントロールする一連のゲートを含んでいる。超伝導ダイオードには、これはこれまで組み込まれたことがなかった特徴である。
「われわれは、コンピュータをもっと強力にしたいが、われわれの現在の材料と製法では、すぐに直面する厳しい制約がある」と論文のシニアオーサ、ミネソタ大学物理学、天文学部准教授、Vlad Pribiagは言う。「われわれは、コンピュータを開発する新しい方法を必要としている。直ちにコンピュータパワーを高めるための最大の課題の一つは、非常に多くのエネルギーを浪費することである。したがって、超電導技術が、それへの対処に役立つ方法を考えていた」。
ミネソタ大学の研究者は、3つのジョセフソン接合を使い、そのデバイスを作製した。これは、超伝導の間に非超伝導材料部分をサンドイッチすることで作られている。そのデバイスの独自設計により、研究チームは、電圧を使って、デバイスの挙動を制御することができる。
そのデバイスは、多数の信号入力を処理することができる。一方、一般的なダイオードは、1入力と1出力を扱うだけである。この特徴により、ニューロモルフィック(神経形態学的)コンピューティングにおけるアプリケーションが可能になる。人工知能システムの性能を強化する脳のニューロン機能の方法を模擬する電気回路を設計する方法である。
「われわれが作製したデバイスは、これまでに示された最高エネルギー効率に近く、初めてわれわれは、この効果を調整するためにゲートを追加し、電界を適用できることを示した」と論文の筆頭著者、ミネソタ大学物理学、天文学Ph.D学生、Mohit Guptaは話している。「他の研究者が、以前に超伝導デバイスを作ったが、その材料は、製造が非常に難しかった。われわれの設計は、もっと業界よりであり、新しい機能を提供する」。
研究チームが使った方法は、原理的に、どんなタイプの超伝導でも使え、その分野の他の技術よりも多様に簡単に利用できるようにする。こうした品質により、そのデバイスは、産業アプリケーションに一層適合しており、幅広く利用できる量子コンピュータ開発のスケールアップに役立つ。
Prigiagは、「当座、世の中の全ての量子コンピューティングマシーンは、実世界のアプリケーションのニーズとの関連で極めて基本的である。有用な、複雑な問題に取り組めるだけの強力なコンピュータにするには、スケールアップが必要だ。多くの人々が、潜在的に古典的なコンピュータを凌ぐことができるコンピュータあるいはAIマシーンのアルゴリズムや利用例を研究している。ここでは、われわれは、これらのアルゴリズムを実行する量子コンピュータを可能にするハードウエアを開発している。これは、最終的に産業に行き着き、実用的なマシーンに組み込まれるこれらのアイデアを播種する大学の力を示している」。