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ファイバオプティック・スマートパンツ、動きをローコストモニタ

July, 5, 2023, Washington--老化により世界人口には新しいセンサ技術が必要になっている。これは、医者や介護人が人の健康を遠隔モニタするのに役立つ。ファイバオプティックセンサベースの新しいスマートパンツは、非侵襲的に人の動作を追跡し、苦痛のサインがあると、問題を警告する。

「われわれのポリマ光ファイバスマートパンツは、自然な動きを妨げることなく、座る、スクワット、歩行あるいはキックなどの行動の検出に使える」とブラジルのFederal University of Espirito Santo研究チームリーダー、Arnaldo Leal-Juniorは、コメントしている。「このアプローチは、画像ベースのシステムにともなうプライバシー問題を回避し、家庭で老齢患者をモニタし、リハビリテーションクリニックにおける一連の動きなどのパラメタ計測に役立つ」。

Biomedical Optics Express,誌で研究チームは、布地に透明な光ファイバを直接統合した新しいスマートパンツについて説明している。チームは、パンツ内のポケットに設置できるポータブル信号取得ユニットも開発した。

「この研究は、光デバイスを使ってローコストウエアラブルセンシングシステムを開発できることを示している。新しいマシンラーニングアルゴリズムを使ってスマート線維のセンシング能力を拡大し、新しいパラメタの計測を可能にできることもわれわれは実証した」とLeal-Juniorは、コメントしている。

ファイバオプティクパンツの作製
その研究は、ローコストウエアラブルセンサのためのフォトニック線維の開発に焦点を当てた大型プロジェクトの一環である。スマートパンツのようなデバイスは、ヒトが動いているかどうかを示すことができるが、研究チームは、動作をまったく邪魔することなく、特別なタイプの動作を検出できる技術の開発を考えていた。チームは、強度変動ポリマ光ファイバセンサをパンツを造るために使う線維に直接組み込むことでこれを実現した。

そのセンサは、1㎜径のポリメチルメタクリレート光ファイバに基づいている。チームは、外側クラッドファイバコアの小部分を除去することでファイバに敏感な領域を作った。動きによってファイバが曲がると、これがファイバを伝播する光パワー変化の原因となり、それを使ってどんな種類の物理的変更がファイバの敏感な領域に加えられたかを特定することができる。

様々な場所にこのような高感度ファイバ領域を作ることで、チームは、脚毎に30の計測点を持つ多重センサシステムを作製した。さらにチームは、様々なタイプの動作を分類し、センサデータに基づいた歩行パラメタを分類するために新しいマシンラーニングアルゴリズムを開発した。

動作の分類
プロトタイプをテストするためにチームは、ボランティアに、そのスマートパンツをはき、特別な動作を実行してもらった。ゆっくり歩く、早歩き、スクワット、椅子に座る、床に座る、前蹴りと後ろ蹴りなど。そのセンシングアプローチは、これらの動作を100%の正確さで分類した。

「ファイバオプティクセンサには、複数の利点がある。電気や磁気干渉の影響を受けない、コンパクトで柔軟であるので様々な衣類備品に簡単に組みこめること。多重光パワー変動センサベースのデバイスは、センシングアプローチをローコストにし、高信頼にする」とLeal-Juniorは、話している。

研究チームは、現在、その信号取得ユニットをクラウドに接続しようとしている。これによりそのデータは、リモートアクセスが可能になる。チームは、そのスマート布地を家庭設定でテストする計画である。