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メタマテリアルを使った新しいタイプの磁気ミラー

October, 29, 2014, Wahington--光る金属表面を使わずに、非金属のメタマテリアルの独特の磁気特性を使うことで赤外光を反射する新しいタイプのミラーが初めて実証された。
 「磁気ミラー」表面近くにナノスケールのアンテナを置くことでサンディア国立研究所の研究チームは電磁照射を捉え収集することができる、と説明している。これは、新しいタイプの化学センサ、太陽電池、レーザおよび他のオプトエレクトロニクスデバイスで関心をかき立てる可能性がある方法である。
 サンディア国立研究所の研究者、Michael Sinclair氏によると、このブレイクスルーはナノスケール共振器を散りばめた特殊設計の非金属表面を使うことによって可能になった。
 これらナノスケール立方体共振器はテルルベースで、赤外光の波長よりも小さい。この短波長で磁気ミラーを実現するには、この点が重要になる。
 Sinclair氏は、「共振器のサイズと形状が重要である。磁気的、電気的特性として、光と相互作用して特定の波長範囲で光を散乱させる磁気ミラー効果が可能になる」と説明している。
 磁気ミラーは、磁界と相互作用することで光を反射し、元の電気特性は保持する。「したがって、磁気ミラーはミラー表面に非常に強い電界を作り出し、電磁波エネルギーの吸収を最大化し新たなアプリケーションに道を開く」とサンディアの研究者、Igal Brener氏はコメントしている。
 磁界は、電子や陽子などの荷電粒子を反射し、閉じ込めることさえできるが、フォトンは電荷がないので、自由に通過する。
 研究チームは、磁気ミラー効果を発揮するメタマテリアルを開発している。
 最初は長いマイクロ波周波数でしか実現できず、マイクロ波アンテナなど、アプリケーションは少なかった。
 こうした限界を克服するために研究チームは、特殊設計の非金属誘電体共振器の2Dアレイを開発した。これはナノスケール構造であり、入力光の磁気成分と強く相互作用する。これらの共振器は、以前の設計に対して多くの重要な利点がある。
 まず、ここで使われている誘電体材料、テルルは金属と比べて信号ロスが非常に少ないので、赤外波長で極めて反射性が優れた新設計が可能になり、ミラー表面に著しく強い電界を作ることができる。次に、ナノスケール共振器は標準的な堆積-リソグラフィとエッチング加工で製造可能。これらはすでに業界で広く用いられている製造技術。
 この共振器の反射特性が現れるのは、共振器が人工原子のように振る舞い、フォトンを吸収して次に再放出するためである。原子は、外殻電子でフォトンを吸収し、次にフォトンをランダムな方向に再放出することを自然に行う。大気中の分子はこのように光の特殊波長を散乱するので、日中は空が青く、日の出と日没には空が赤くなる。
 共振器の中のメタマテリアルは同じ効果を実現しているが、フォトンの吸収と再放出は電界を反転することなく行う。
 研究チームの設計が実際に磁気ミラーのように振る舞うことを確認するために、光の波が入ってきて、ミラー表面で反射される時にどのように重なり合うかを正確に計測することが必要だった。普通のミラーでは、反射されると光の位相が反転するので、波の位相が反転していないという痕跡が、サンプルが真の磁気ミラーとして振る舞っていることの「決定的な証拠」となる。
 これを検出するためにサンディアのチームは時間領域分光法という技術を利用した。この技術はテラヘルツ波の計測で広く用いられてきた。研究チームによると、この技術を短い波長(10µm以下)で実証したのは世界に数グループしか存在しない。この技術の能力は、光の電界の振幅と位相情報の両方をマップできるところにある。
 次のステップとして研究チームは、さらに短い光波長で磁気ミラーの振る舞いを示す他の材料を研究する。そこではアプリケーションの幅は非常に広がる。「効率のよい磁気ミラーがもっと短い波長までスケールすると、さらに小さなフォトディテクタ、太陽電池、おそらくレーザも可能になる」とサンディアのポスドク助手で論文の筆頭著者、Sheng Liu氏はコメントしている。