新しい超音波技術で強力な化学療法薬剤を脳腫瘍へ

June, 9, 2023, Evanston--デバイスは、マイクロバブルを使って血液脳関門を開き、ヒトのグリオブラストーマを処置する。

致命的な脳腫瘍グリオブラストーマ治療の大きな障害は、最も強力な化学療法が、悪性の脳腫瘍に達するために血液脳関門に浸透できないことである。

今回、ノースウエスト医科の研究者が、初の人体臨床試験の結果を報告している。研究チームは、新しい頭蓋インプラント可能超音波を使って血液脳関門を開き、ヒトの脳の大きく、重要な領域に浸透して、静脈に注射した化学療法を送達した。

血液脳関門を開くための4分の処置が、患者覚醒状態で行われ､患者は､数時間後に帰宅する。結果は、その処置が安全で耐容性良好であることを示している。患者によっては、6サイクル処置で立ち上がっている。

これは、ヒトの脳における化学療法濃度で超音波ベース血液脳関門開放を量る初の成功研究である。血液脳関門を開くことで、ヒトの脳で薬剤濃度が約4～6倍増加となることを結果は示した。

研究者は、2つの強力な化学療法薬でこの増加を観察した。その薬剤は、通常の状況では血液脳関門を超えないので、これらの患者の治療には使われない。

さらに、超音波処理後に血液脳関門がいかに素早く閉じるかについての初の研究である。ほとんどの血液脳関門の復元は、超音波処理後最初の30～60分で起こる。その結果により、連続的薬剤送達超音波活性化の最適化が、ヒトの脳への薬剤浸透を最大化できる。

ノースウエスタン大学、Feinberg School of Medicine およびノースウエスタン医学部准教授、 神経外科医、Dr. Adam Sonabend､主席研究者は、「これは、潜在的に、グリオブラストーマ患者にとっては大きな前進である」とコメントしている。

Sonabendによると、グリオブラストーマに使用される現在の化学療法薬、テモゾロマイドは、血液脳関門を超えないが、それは弱い薬剤である。

論文は、The Lancet Oncologyに発表された。

血液脳関門は、脳を大多数の循環する薬剤から保護する微視的構造。結果として、脳疾患を治療するために使える薬剤のレパートリーは非常に限られる。脳にガンがある患者は、そうでなければ、身体のガンに効果的なほとんどの薬剤で治療することができない。これらは､血液脳関門を超えられないからである。脳病理やガンを治療するための薬剤の効果的な再利用は、それらの脳への送達を必要とする。

過去においては、パクリタキセルを直接これらの腫瘍の患者の脳に注射する研究は、有効性の明るい兆しが観察されたが、直接注入は、Sonabendによると、脳の刺激や脳膜炎などの毒性に関連していた。

血液脳関門は、一時間後に再び閉じる
研究チームは、血液脳関門の超音波とマイクロバブルベースの開口の利用が一時的であることを発見した。ほとんどの血液脳関門の完全性は、人ではこの処置後、一時間以内に回復される。

「超音波処理後、重要な時間幅が存在する。その際に脳波、血流を循環する薬剤を透過する」とSonabendは､コメントしている。

以前の人体研究は、ある動物研究に基づいて、血液脳関門は、脳超音波処理後24時間で完全に回復することが分かっていた。その場合は、血液脳関門は、最初の6時間程度開くと推定していた。ノースウエスタンの研究は、この時間幅はもっと短いことを示している。

もう1つの初では、研究は、フランスのバイオテク会社Cartheraが設計した新しい頭蓋骨インプラント可能な超音波エミッタグリッドが、最初のデバイス(小さな単一超音波エミッタインプラント)の9倍大きな脳のボリュームで血液脳関門を開くことを報告している。これは重要である。効果を出すために、このアプローチは、グリオブラストーマ腫瘍切除後に脳にそのままになっているキャビティ隣接の大きな領域のカバレッジを必要とするからである。

研究の結果は、研究者が再発グリオブラストーマ患者のために行っている進行中のフォーズ2臨床試験のベースになる。超音波技術により、患者の脳にパクリタキセルとカルボプラチンの組合せを参加者が受けるトライアルの目的は、この治療がこれらの患者の生存期間を延ばすかどうかの研究である。これら2つの薬剤の組合せは、他のガンで使用されている。それは､フェーズ2トライアルで、それらを組み合わせる根拠である。

論文で報告されたフォーズ1臨床試験では、患者は、腫瘍切除手術と超音波デバイスの埋込手術を行った。埋込後、数週間以内に治療がスタートした。

研究チームは、超音波ベース血液脳関門開放とともに、3週間毎にパクリタキセル送達量をエスカレートした。患者のサブセットでは、研究は手術中も行われた。薬剤濃度について、この超音波デバイスの効果を調べるためであ。血液脳関門は、フルオレセインという蛍光染料を使い、超音波治療後に得られたMRIにより、手術室で可視化され、マッピングされた。

「われわれは、脳腫瘍(米国には約30000のグリオーマが存在するため)に重点を置いているが、これは、様々な脳疾患を患う数百万の患者のための新しい薬剤ベースの治療研究に扉を開く」とSonabendは、コメントしている。