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技術進歩により、家庭でOCT眼イメージングが可能になる

June, 9, 2023, Washington--ウイーン医科大学の研究チームは、一般に通信やLiDARアプリケーションで使用されているVCSELダイオードが、波長掃引型OCT(SS-OCT)の安価な光源になるとことを示した。
この進歩は、眼科医院、家庭でも実際に利用できる眼科OCTシステムにつながる。

「OCTは、眼科では診断や緑内障、黄斑変成、糖尿病関連網膜症などの疾患モニタリングの標準イメージングツールとなっている」とオーストリア、ウイーン医科大学、研究チームメンバー、Milana Kendrisicは、コメントしている。「しかし、レーザ光源の価格、OCTシステムの複雑さが、クリニックや病院の外では、その利用を阻んでいる。特に自宅でのケア、POC利用の場合である」。

シングルモードVCSELsは、通常、定電流で動作するが、研究チームは、電流を変えて、SS-OCTに必要な波長変化を達成した。Optics Lettersでは、チームは、VCSELと先進的後処理アルゴリズムを組み込んだカスタムOCTセットアップを説明している。チームは、そのセットアップを利用して健康なボランティアで全眼スキャンを行った。

「われわれは、一般開業医、薬局、あるいはスーパーマーケットで使える低コストOCTデバイスを開発したい。眼科医に行かなくても眼のチェックができるようにするためである。加齢黄斑変成の患者、糖尿病患者の目の健康を在宅モニタリングができるようになる。これは、処置をモニタし、異常な変化を早期に発見して失明を回避し、究極的にQoLを維持するためである。これは、例えば、保険プロバイダから使いやすいデバイスを貸し出すことによって行える」。

安価なレーザの発見
掃引型OCT(SS-OCT)は、2010年に眼のイメージングに臨床的に使えるようになった比較的新しいOCTアプローチである。それは、時間と共に波長が変わるレーザを使い、眼の様々な部分を高品質に可視化できる。この新しいアプローチは、眼の疾患の理解向上、診断に利用される細部を明らかにするが、掃引光源の価格は、通常、数万ドルである。

新しい研究でチームは、遙かに安価なVCSELダイオードが、高価な波長掃引レーザの代わりに使えるかどうかの確認に乗り出した。VCSELダイオードは、一般に、ある明確に定義された波長でレーザビームを出力するが、そのダイオードの動作温度が変化すると、出力波長も変化する。

「われわれの考えは、温度による波長シフトの望ましくない効果を活用して、これらのダイオードをOCTに利用するというものだった。われわれは、駆動電流を短時間に、そのオリジナル仕様を超える高い値まで上げることで、意図的に温度変化を導入する。これは、その後に冷却期間が続き、ダイオード材料の劣化を回避する。つまり、他の方法で可能なよりも広い範囲でダイオードをチューニングするのである」とKendrisicは、説明している。

他のグループが、OCTにVCSELsが利用できることを実証しているが、そのシステムは、眼のイメージング用には設計されていなかった。眼は、ほとんど水で満たされているので研究チームは、水で強く吸収されない波長、850nmで動作するVCSELを使用した。これにより、そのレーザ光は、眼を通して網膜まで達し、吸収で信号が失われることなく、ディテクタに戻ってくる。

「商用の掃引型光源は、もっと大きなスペクトル帯域であるが、VCSELで達成した小さな範囲でもOCT計測に十分であることをわれわれは示した。これらのレーザダイオードは、まとめ買いでも各数ドルのコストであり、人の眼の角膜から網膜までの全長をカバーするために必要な長い距離レンジングが可能である」(Kendrisic)。

眼の画像を撮る
レーザを損傷することなくVCSELへの電流を増やすベストの方法を計算し、イメージングで最高解像度を確保した後、研究チームは、それを眼科OCTイメージングを行う光学セットアップに組み込んだ。このシステムは、システム性能を維持するための追加のコンポーネント、先端後処理アルゴリズを含む。同システムは、特に感度とイメージング深さでは、性能は極めて良好だった。

チームは、健康なボランティアの目をイメージングして、そのシステムをテストし、眼軸長、前房の深さを商用OCTシステムに匹敵する軸精度で抽出することができた。結果は、その技術がセキュリティ目的で使用される生体認証アイスキャナシステムで利用できる可能性を示している。

「VCSELベースのシステムは、画像品質の点では限界があるが、それでも従来のOCTシステムが利用できず、あるいは手頃な価格でないところでは、診断イメージングへの利用拡大と患者ケア改善の可能性がある」(Kendrisic)。「われわれの論文は、この技術を眼科アプリケーションでの利用を強調しているが、OCTデバイスの価格低下により、他の分野にもOCT技術の導入が容易になる、医療と技術の両方である」。

眼の検査のためにVCSELベースのシステムが商用化できるようになる前に、大規模臨床研究と光源寿命テストを行い、システムの臨床妥当性と寿命を証明する必要がある。