June, 7, 2023, 和光--理化学研究所(理研)量子コンピュータ研究センター 半導体量子情報デバイス研究チームの小林嵩研究員、樽茶清悟 チームリーダーらの研究チームは、シリコン中の電子スピンによる量子ビットを測定結果に基づくフィードバック操作によって初期化する技術を開発した。
研究成果は、量子コンピュータを実装する上で解決すべきデバイスの不完全性に対する処方箋を示しており、大規模な量子コンピュータの実現に貢献すると期待できる。
量子コンピュータのフィードバック操作は、量子誤り訂正をはじめとした重要なプロトコルに要求される技術。しかし、デバイスの不完全性により量子ビット測定が不正確な場合に必要な操作を実行できないことが予想され、実装への障害となっていた。
今回研究チームは、シリコン量子ビットのフィードバック操作を実現し、それを量子ビットの初期化処理に利用して性能を評価した。問題であった量子ビット状態の推定の精度を、量子非破壊測定を繰り返すことで向上させ、量子ビット測定が不正確な場合でも高い成功率で量子ビットを動的に初期化することに成功した。
研究成果は、科学雑誌『npj Quantum Information』オンライン版(6月1日付:日本時間6月1日)に掲載された。
(詳細は、https://www.riken.jp)