April, 25, 2023, 東京--三菱電機株式会社は、300GHz帯のテラヘルツ波を用いて、一方向から一回の照射により任意の深さで対象物の断層イメージングを行う業界初の技術を開発した。
THzは、生体への影響が小さく、移動する対象物も数ミリメートルの解像度で撮像する。
近年、空港や駅、スタジアムなど公共空間における安心や安全への関心が高まり、セキュリティー対策の一つとして不審な所持品などを調べるスキャン装置の導入が進んでいる。しかしこれらに多く用いられているX線検査装置は、主に手荷物検査などに用途が限定されている。また、ミリ波を用いたボディースキャン装置は、人物が静止した状態で周囲180度の測定が必要なことから、装置が大型化する傾向がある。そのため、これらスキャン装置は空港以外の公共空間への導入はあまり進んでいない。
この他、製造現場では人手不足を背景に、生産や検査ラインの自動化・省力化のニーズが高まっている。しかし従来の光学カメラや赤外線カメラを用いた製品検査は、外観検査に用途が限られており、例えば、食品工場で容器の内部を検査する際は、抽出したサンプル品の蓋を開けて人手で調べる必要がある。
今回、三菱電機が開発した技術は、生体への影響が小さいテラヘルツ波を用い、一方向から一回の照射で対象物の断層イメージングを行うバーチャルフォーカスイメージング技術と複数のイメージを合成し誤検出を低減するマルチモードビームフォーミング技術を組み合わせた技術。移動する物体の撮像が可能で、ウォークスルー型のセキュリティーゲートや、ベルトコンベアなどで流れてくる生産ライン上での非破壊検査にも適用可能。また、スキャン装置の小型化が可能で、さまざまな場所への導入にも貢献する。
(詳細は、https://www.mitsubishielectric.co.jp)