April, 25, 2023, 東京--東京大学 生産技術研究所のシン コウ特別研究員、ヤンユ グオ特別研究員、野村政宏教授らは、グラファイトの同位体を除去することで、100 K(ケルビン、-173℃)付近で強いフォノンポアズイユ流れが形成され、フォノンの相互作用によって生じる集団的な流れによって熱伝導が増強されることを確認した。
研究では、これまで明確ではなかったグラファイト中のフォノンポアズイユ流れの形成に関する理論的判断基準を明確にした。さらに、グラファイトでフォノンの流体的性質を活用して熱伝導を増強するためには、同位体を除去して高純度化することとポアズイユ流れを形成しやすい幅にすることが重要であることを明らかにした。
この成果は、放熱材料として普及が始まっているグラファイトのさらなる放熱性能の向上につながり、高性能半導体デバイスをはじめとする排熱を課題として抱える電子機器などに広く波及効果が期待できる。
この研究は、物質・材料研究機構の谷口尚 フェロー、渡辺 賢司 特命研究員、フランス国立科学研究センターのセバスチャン・ヴォルツ リサーチディレクター、東京大学 生産技術研究所の町田友樹教授らとの共同研究。
(詳細は、https://www.iis.u-tokyo.ac.jp)