April, 24, 2023, Washington--中国集美大学(Jimei University in China)の研究者は、熱を空気中に放出する太陽や放射元素からの熱を使って連続的に電気を生成する新しい熱電発電器(TEG)を開発した。それは、昼夜、曇っていても機能するので、その新しい自己発電TEGは、屋外センサなどの小さな電子デバイスの信頼できる電源となる。
「バッテリなど従来の電源は、容量が限られており、定期的交換あるいは再充電を必要とする。これは不便であり、持続不可能である」と集美大学、研究チームリーダー、Jing Liuは言う。「われわれの新しいTEGデザインは、小型デバイス向けの持続可能、連続的なエネルギーソリューションであり、バッテリのような従来の電源の制約に対処する」と同氏は続けている。
TEGsは、温度差を利用して可動部分なしで発電するソリッドステート素子である。Optics Expressで、Liuと多研究機関の研究チームは、新しいTEGについて説明し、同デバイスが、日が出ていない時でも、発電できるだけの大きな温度差を生み出すのに必要な熱と冷気を同時に生成できることを証明している。そのパッシブ電源は、簡単に製造できるコンポーネントでできている。
「われわれの自己発電TEGのユニークなデザインにより、それは天候にかかわらず連続的に機能する。さらなる開発により、われわれのTEGはリモートセンシングからウエアラブルエレクトロニクスまで広い範囲のアプリケーションに影響を与えることが可能であり、われわれの日常生活の電源への持続可能、環境に優しいアプローチとなる」とLiuは話している。
TEG性能強化
熱電裁量が温度勾配を感じると電子が厚い部分から冷たい部分へ流れ、電流を生成する。この現象に基づいたTEGsは存在するが、それらは不安定な温度差を生み出す傾向にあり、使えるだけの電気を生み出せない。
こうした制約に対処するために、研究チームは、新しいタイプのTEGを開発した。それは、太陽光を捉えるために超広帯域太陽光吸収体(UBSA)というコンポーネントを使用する。これは、ジェネレータの片側を加熱する。同時に、平面放射冷却エミッタ(RCE)が、熱を放出することで別の面を冷却する。UBSAとRCEの両方がフレキシブル基板に適用され、それは、例えば、ウエアラブルデバイスの電源に利用できる。
通常の太陽光強度では、UBSAの加熱力は、RCEの冷却力よりも遙かに大きいので、研究チームは、面積が大きいUBSAの上にRCEを置いた。太陽光がデバイス全体に当たると、UBSAの陰になっていない部分が太陽のエネルギーを吸収して熱くなり、一方、上のRCEは、冷却を始める。加熱と冷却が、電力に変換する温度差を生み出す。
夜あるいは曇った日は、直射日光がないために、温度差は、大幅に低下する。しかし、晴れた日に比べて効率は低下するとは言え、まだ発電に利用できるだけの温度差はある。
夜間の発電
デバイスをテストするために研究チームは、様々な気象条件で屋外実験を行った。チームは、デバイスからの電圧出力をモニタし、そのデバイスが、昼夜、また曇った日中の条件でも連続的に発電できることを確認した。デバイスは、晴れた日中条件でピーク電圧出力166.2mVを達成した、これは小型センサ、デバイスに給電できる電力である。晴れた夜間と曇った日中の条件では、それは、それぞれ14.7mVと95mVだった。
「太陽加熱と放射冷却を統合するわれわれの画期的な方法によりTEGは、途切れなく発電できる。これは、重要なサービスへのアクセスを改善できる、特に従来の電源が利用できないようなリモートあるいは未開発地域での利用である」と研究チームメーンバーのHaoyuan Caiは、話している。
研究チームは、現在デバイスの効率、耐久性、スケーラビリティをさらに最適化することに取り組んでおり、様々な条件で長期安定性と信頼性をテストする計画である。また、リーゾナブルなコストでの量産可能性を研究し、デバイスの性能を様々なアプリケーションに適用できるようにもしたいと考えている。