April, 21, 2023, Los Alamos--ロスアラモス国立研究所の研究チームは、新しいハイパースペクトラルX線イメージング(HXI)ディテクタを開発した。これは、様々な材料の超高感度元素および組成分析を可能にする。
「HXIは、走査型電子顕微鏡(SEM)で材料のエネルギー分解能や効率で世代的飛躍となる。これにより研究者は、以前には可能でなかったような仕方で詳細なナノスケール計測が可能になる」と、ロスアラモスのSafeguards Science and Technologyグループ、Matt Carpenterは、説明している。
SEMsでX線分光法を使う材料成分マイクロ分析は、半導体製造産業、地質学、環境絵科学、科学捜査や材料工学などを含む多くの分野で一般的な方法である。しかし、X線スペクトルを計測する標準的な商用ディテクタでは、ユーザは高エネルギー分解能、光検出効率から選択する必要がある。結果的に、ナノスケールレベルで材料の詳細な化学的成分、元素組成マッピングは、これまでは不可能だった。そのような微細分析は、非常に小さな長さスケールで成分が異なるサンプルにとって特に重要である。また、マクロ的な特性が微視的な特徴に依存するようなところでは重要である。
ロスアラモス国立研究所、NIST、コロラド大学が、この分析問題に適合するHXIを開発した。
チームのディテクタは、現在、商用入手できる技術よりもエネルギー分解能は20倍優れている。これによりメーカーは、量産前、需要な欠陥を検出する品質保証中に、シリコンマイクロチップの微細部分を見ることができる。また、それは、例えば航空機や橋梁建設前にナノスケールで材料の欠陥を特定する能力でもある。
SEMs利用する別の重要な領域は、核保証措置である。これは、国際協定にしたがって国々が核物質を安全に使用するための技術的手段である。核防護技術は、破壊的および非破壊分析を含む。破壊技術は、サンプルを変更するが、非破壊技術は、サンプルをかき乱すことなく分析できる。HXIは、他の分析に直ぐに統合できる非破壊ツールである。
電子顕微鏡は、全てのこれらの研究領域で極めて重要なツールである。HXIディテクタを標準SEMに加えることで、材料や物体についてナノスケールで詳細が明らかになる、光ベース光学顕微鏡よりも何千倍も小さなスケールである。
顕微鏡の電子ビームがサンプルと相互作用すると、個々の元素に特徴的なエネルギーでX線が放出される。サンプルの元素組成は、X線スペクトルで決まり、電子ビームからの空間情報と統合されて、ナノメートルレベルでマップを形成する。これは、多くの科学的、産業分野に広いアプリケーションがある。半導体製造でナノメートルサイズチップの特性計測から、材料科学の合金ナノスケール構造、地質学や鉱物探査での小スケール鉱物構造や分布までである。
HXIディテクタは、エネルギー分散型X線分光法(EDS)と同じように操作する、全X線エネルギー範囲に対して高効率である。HXIのエネルギー分解能は、波長分散分光計(WDS)の分解能に匹敵するか、それよりも優れている。HXIは、両方の長所を一つの先進的機器に統合している、つまりこれまで達成されなかったことである。材料を見ることが増えれば増えるほど、ますますよく理解できるようになり、その特性が改善される。HXIディテクタは、世界中で次世代技術を可能にする重要な洞察を提供する。