April, 20, 2023, Lausanne--スイス連邦工科大学(EPFL)のBlue Brain プロジェクト研究者は、マウス脳の視床微小回路トの画期的な計算モデルを開発した。これは、脳機能と機能不全でこの領域が果たす役割に新たな洞察を与える。
視床網状核、視床網様核(TRN)は、哺乳類脳の中核にあり、幅広い範囲の機能で重要な役割を果たすことで知られている、大脳皮質への感覚情報の伝達、睡眠と覚醒など脳状態の移行など。しかし、視床神経ニューロンの発火や相互接続性の変性は、病理学的脳リズム、睡眠中のリズミカルな脳波の変化にリンクしており、これらは統合失調症、注意欠陥多動性障害、アルツハイマー病などの疾患で観察さている。
Blue Brainで開発された新しいモデルは、600万シナプスで接続された14000ニューロンの複雑な形状と生物物理学的特性を捉えた最初である。それは、神経回路の構造的、機能的複雑性の探究に使える。そのモデルは、様々な脳状態で多数の独立したネットワークレベルの実験結果も複製する、また覚醒と睡眠の両方で、自発的活動、誘発活動の新しい統一的細胞とシナプスの説明になる。
研究の重要な結果の一つは、抑制性リバウンド、神経細胞の活動調整に役立つプロセスが、特定の周波数で、覚醒中に視床反応の強化を生み出すことである。そのモデルは、視床相互作用が生み出す、スピンドル振動、睡眠中に見られるリズミカルな脳波の特徴的な満ち欠けを示していた、また、視床細胞の興奮性の変化が、これらスピンドル振動の頻度と発生をコントロールする。
「これは、様々な脳疾患におけるスピンドル存否解釈に特に関連している」と、論文の筆頭著者、Elisabetta Iavaroneは強調している。「このアプローチは、視床微小回路の初の形態学的、生物物理学的詳細モデルを生み出し、皮質の微小回路のために開発されたモデリング戦略Blue Brainを他の脳領域に適用できることを示している」とBlue Brain Project Founderおよびディレクタ, Henry Markram.は、付け加えている。
「コンピュータモデルとシミュレーションは、実験データの多様なソースの組込と標準化を容易にし、欠けている重要な実験を際立たせ、同時に仮説をテストし、神経回路の構造的、機能的完全性を探究するためのツールとなる」とSean Hillは説明している。同氏は、Blue Brain Project、Scientific Director of the Krembil Centre for Neuroinformatics。
Cell Reportsに掲載された研究成果は、脳機能と機能不全における視床と視床網状核の役割理解で大きな前進である。またEPFLのBlue Brain Projectは、現在、独自研究で利用するために研究者がアクセス可能になっている。
「このモデルは、オープンに利用でき、スピンドル振動を解釈し、健康および疾患で様々なネットワーク状態で視床網回路機能と機能不全の仮説をテストするための新たなツールとなる」とHillは結論づけている。
(詳細は、https://actu.epfl.ch/)