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NIST、シングルチップで複数のレーザを操作

April, 19, 2023, Gaithersburg--NISTの研究者は、レーザ光のマルチビーム色、焦点、移動方向、偏光を同時に操作するチップスケールデバイスを開発した。

シングルチップを使ってこれらの特性を調整する機能は、新しいクラスのポータブルセンサの製造にとって極めて重要である。回転、加速、時間、磁場などの基本量を前例のない精度で、実験室の外で計測できるセンサである。

一般に、ディナーテーブルくらいの大きさのラボベンチは、レンズ、偏光子、ミラー、単一のレーザビームの操作にでも必要となる他の器具を収容するために必要とされている。しかし、多くの量子技術、微小光原子時計、ある種の未来の量子コンピュータは、小さな領域で多数の、大きく変化するレーザ光を操作するために同時アクセスを必要とする。

この問題に対処するためにNISTの研究者、Vladimir Aksyukとチームは、2つのチップスケール技術を統合した。集積フォトニック回路(PICs)と、光メタサーフェスとして知られる従来にないオプティクスである。PICsは、微小な透明チャネルと他のマイクロスケールコンポーネントを使い光を誘導する。そのようなサーフェスは、数100万の微小構造でインプリントされたガラスウエファで構成されている。これは、高さが数千億分の1メートルであり、バルクオプティクス不要で、光の特性を操作する。

研究チームは、シングルフォトニックチップが36のコンポーネントの働きをすることを実証した。4つの個別の色に分割された12のレーザビームの方向、焦点、偏光(光波が進行する際に振動する面)を同時に制御する。

チームは、その微小チップが、異なる色の2つのビームが並んで進行するように方向付けられることを示した。これは、ある種の先端原子時計の要件である。

「大きな光学コンポーネント満載光学テーブルを、クリーンルームで製造できる簡単な半導体ウエファで置き換えることは、実に画期的である。この種の技術が必要とされるのは、それらがロバストでコンパクトであり、実世界条件で多様な実験のために簡単に再構成できるからである」と、NISTチームのAmit Agrawalは、話している。

チップベースの光学システムは、進行中の成果の一つてある。例えば、レーザ光は、まだ、微小な最先端の原子時計に必要な極低温に原子を冷却できるほど強力ではない(レーザ光は、通常は原子にエネルギーを与え、過熱し、高速に動かすが、光の周波数や他の特性が慎重に選択されると、逆のことも起こる。原子に当たると直ぐに、レーザフォトンが、原子にエネルギーを捨てさせ、磁界にトラップされるように冷却する)。

冷却能力なしでも、その微小光学システムは、「最先端の原子時計をチップ上に構築する重要な手段である」とAksyukは、話している。
(詳細は、https://www.nist.gov)