April, 18, 2023, Rochester--フォトンで構成されている光ビームがファイバを伝播するとき、振動を生み出し、フォトンで構成される音響波を生成する。研究者は、ブリルアン散乱と呼ばれる現象を利用し、音響波と光波を「結合」する。この結合によりフォトンが運ぶ情報がフォノンに変換される。フォノンは、光波よりも、ほぼ100万倍ゆっくりと伝播する。
光音響結合により研究者が、変換された情報を読取り、操作することが容易になる。とは言え、今日まで、研究者が利用するブリリアン散乱技術の多くは、標準的なファイバ形状に依存しているので、音響波は直ぐに消え、その結合の効果を制約している。
今回、ロチェスタ大学の研究者は、ミクロンサイズ・ウエストの光ファイバを使い、強力な光音響相互作用により、伝播する光波と長寿命音響波の結合方法を実証した。
「これは、以前には達成されていなかった独自の、望ましい結合である」とWendao Xuは話している。同氏は、ロチェスタ大学光学研究所、准教授、William Renninger研究グループのPh.D候補、またそのブレイクスルーを説明しているOptica論文の筆頭著者。
同ブレイクスルーにより、光パルスで運ばれる情報は、ゆっくりと伝播する音響波に時間的に蓄積される。これは、第2光パルスが、その情報を「読み取」ることができる長さである。その成果のアプリケーションは、光ストレージ、無線フォトニクスフィルタリング、光遅延線である。
光ファイバにおけるブリリアン散乱、問題を克服
「音響波の振幅は、伝播するにつれて減少し続ける。基本的に、現在人々が扱っている全ての高インパクトブリリアン散乱は、強力な相互作用を生み出すが、音響波は、周波数が、GHz範囲と高い。周波数が高ければ高いほど、ますます短くなる波は、実際、それが消える前に伝播する」とXuは説明している。
Xuのテーパー光ファイバデバイス、強力な相互作用と長い音響寿命の両方を達成している。それは、クラッドを除去したマルチモードガラスファイバで構成される。ファイバの中央を加熱し、同時に機械的応力を与えてファイバを両端から引っ張ることで、研究チームは、ファイバにしっかりと制限されたシンメトリカルな「ウエスト」を作製した。
このウエストは、「理想的なオプトメカニカルオーバーラップを作る。それが、これまでファイバテーパーで観察された中で最強のブリルアン結合強度を生み出す。これは、システムで最大のオプトメカニカル結合強度に相当する」と論文は説明している。
さらに、デバイスが生成するフォノンの寿命は、2µs程度であり、光パルスが運ぶ情報を一時的に、このゆっくりと伝播する相対的に長い周期で、音響波に蓄積できるだけの長さである。その後に、第2の光パルスが情報を読み出す。
テイパード光ファイバデバイス
Iyerによると、Xuの業績は2倍である。「一つはシステム、テイパードファイバデバイスで、これは、以前にはほとんど注意を払うものがいなかった音響波ファミリをサポートしている。もう1つは、プロセス自体である。2つの異なる光空間モード間の相互作用を使い、われわれが欲しいものを獲得する」と同氏は、説明している。
同氏によると、長いフォトン寿命との強力な相互作用達成に関わる物理学を含む、そのプロセスは、既存技術の改善のために直ちに採用、適用できる。例えば、フォトニックフィルタで不要なRFsを検出してフィルタリングアウトする、つまり光ファイバシステムにおける遅延差を補償するためのファイバオプティク伝送遅延を生成すること。
テイパードファイバシステムは、他方で、研究には有用であるが、研究室外の実世界アプリケーションではあまりに脆弱過ぎるようだ。「これらは、そこに、ただぶら下がっているだけのマイクロンサイズのガラスフィラメントである」(Iyer)。
とは言え、研究チームは、そのシステムを実世界アプリケーション向けにパッケージ化する方法をすでに調べている。
(詳細は、https://www.rochester.edu)