April, 17, 2023, Fremont--US Geological Surveyによると、世界には潜在的な活火山は約1350ある。ガスの噴出は、火山の表面下でのマグマ活動を示唆しているので、その噴出物のモニタリングは、近隣社会へのタイムリーな警告にとって重要である。
国際研究グループは、火山噴出物を継続的に計測できるローコスト、ローパワーカメラを開発した (Front. Earth Sci., doi: 10.3389/feart.2023.1088992)。研究の主筆、UK、シェフィールド大学(University of Sheffield, UK)、Thomas Wilkes,は「われわれの機器は、スマートフォンカメラセンサと似ていなくもないセンサを使う。それは、UV光に感度があるように改善されているので、SO2(二酸化硫黄)検出が可能である」と話している。
カメラシステムの構築
SO2は、リモートセンシング機器を使って検出される最も一般的な火山ガス種である。比較的低大気濃度であり、UVとIR波長に強力な吸収帯が存在するからである。紫外SO2カメラは、2000年代半ばに開発されてから、高い時間的、空間的分解能により、火山噴出物の計測では特に役立っている、
しかし、SO2カメラは、連続モニタリングツールとして普及しているわけではない。研究者によると、それが非常に高価だからである。科学グレードUVカメラのコストは、数千から数万ドルであり、また構築して運用すると20000ドルにもなる。さらに、SO2カメラでは、ユーザが現場にいなければならず、長期データ取得が困難である。
こうした問題に対処するために研究チームは、新しいSO2カメラを開発した。チームは、Raspberry Piベースのカメラを使用した。まず、そのデバイスからBayer フィルタを除去してそのUV感度を改善した。次に、チームは、UV透過光学系を作り、それをカメラに搭載した。結果としての視界は28°×21°だった。
チームのSO2カメラでは、フリーソフトウエアPyCamPermanentを使いデータを収集し、1TB外部SSDに蓄積し、バックアップとしてRaspberry Piマイクロ-SDカードに蓄積した。取得データは、次に同じソフトウエアを使って処理される。
ローパワーで安価なカメラ
カメラシステムの全般的な消費電力は、研究者によると、比較的低い。「スリープモード」では、機器の消費電力は0.96W、ONでは6W、データ取得中は12Wである。
低消費電力は、一部は、システムが低消費電力CMOSセンサを利用しているためである。チームは、2015年に製造された、比較的新しい分光計を組み込んだ。それは、熱安定性が著しく改善されていた。これにより研究者は、以前には、分光計の温度制御に使用していたTECを回避できた。また、必要な電力量も下げ、システム全体のコストも下げた。
計測器の部品の総コストは約5000ドル。大部分はUV分光計で、約3500ドル。全般的価格は、以前のオプションと比較すると大幅に低い、とチームは主張している。コスト低下の大きな部分は、Raspberry Piベースのカメラからのものである。そのコストは、数百ドル、科学グレードの機器よりも一桁から二桁少ない。チームは、3Dプリント部品、オープンソースソフトウエアを使う、ソーラパネルやバッテリは少なく、小さくすることで余分なコストも回避した。
火山にカメラを設置
チームのカメラは現在、LascarとKīlauea北部チリと米国のハワイそれぞれで連続動作している。「これまでは、そこでは、わずか3つの火山が永久SO2カメラを設置していた。火山活動を継続的に計測できることは重要である。数分から数十年、数世紀、それ以上まで、大きく変化するからである」(Wilkes)。
とは言え、SO2カメラには、限界がある。「カメラは気象条件に依存し、晴れた青空の下で最高機能となる、つまり火山ガスプリュームが、カメラの視線方向に対して90°の角度で動くときである」とWilkesは、説明している。研究チームは、そのカメラの性能の長期テストも必要としてる、とコメントしている。