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シンプルな液体分注ロボットで酵母の増殖能評価実験の自動化実現

April, 14, 2023, つくば--筑波大学の研究者は、シンプルな機能を持つ液体分注ロボットを用い、真核生物のモデル生物である出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)のスポットアッセイの自動化システムを構築した。
スポットアッセイとは、寒天培地上での酵母の増殖能の違いを評価する実験のことで、遺伝学や毒性学においてよく用いられている。しかし、これまでは大型のロボットや専用装置を使うなど導入コストが高い手法でしか自動化がなされていなかった。研究チームは、寒天培地の高さのばらつきを自動で補正する手法や酵母の増殖を自動で観察・定量するシステムを新たに開発し、シンプルな機能を持つ液体分注ロボットと接続することで、スポットアッセイの自動化システムを構築した。開発したロボットシステムによる自動実験と人間による手動実験を定量的に比較した結果、開発した自動スポットアッセイ実験の精度が人間に劣らないことが示された。

生命科学実験をロボットやコンピュータなどを活用して自動化する「実験自動化」が世界中で注目を集めている。実験自動化が進めば、生命科学研究の効率化や再現性の向上、研究者を含む人間のリソース配分の最適化につながることが期待される。これまでもさまざまな分野で実験自動化が行われてきましたが、大型で多機能なロボットや専用装置を用いて実装されることが多く、筐体数の拡大や、一般の研究室への新規導入が難しいという問題があった。一方、比較的導入が容易な、シンプルな機能を持つロボットを用いた生命科学実験の自動化例は限られており、ラインナップの拡大が求められている。

研究成果を活用することで、より幅広い研究者が実験自動化を導入しやすくなるとともに、AI(人工知能)駆動型実験やより大規模な酵母実験を自動化する際の技術基盤となることが期待される。
(詳細は、https://www.tsukuba.ac.jp/)