April, 13, 2023, Vancouver--デンマーク工科大学(Technical University of Denmark)の研究者は、生きた細胞内の複雑なダイナミクスを研究する新方法を開発した。
これには、細胞内センサとして、光学的に捕捉されたナノダイヤモンド粒子を使用する。特注光ピンセットを使用して、研究チームは、細胞が生きている間に低パワーで細胞内の粒子を捉えた。その研究は、原子レベルの変化を分析する量子力学を活用しており、量子センシングにおける重要な進歩を示している。
研究チームは、光ピンセットを使って単一の白血病細胞内のナノダイヤモンド粒子を捕捉し、その粒子を使って細胞内の磁気ノイズを計測する方法を実証した。デンマーク工科大学(Technical University of Denmark)のFatemeh Kalantarifardは、4月に予定されているOptica’s Biophotonics Congressで研究の詳細を発表する(Monday, 24 April at 15:00-15:15 PDT (UTC – 07:00))。
光学的にトラップされたナノダイヤモンド
蛍光ナノダイヤモンド(FNDs)は、多様なアプリケーションで有望なエミッタ、センサとして注目を集めている。FNDsの並外れた特徴の一つは、量子センシングにより、温度、磁場などの物理的なパラメタを検出することである。ダイヤモンド量子センシングは、ダイヤモンドの常磁性欠陥、窒素空孔(NV)中心に基づいており、これは、ナノスケールで温度や磁界依存電子スピンを読み出すことができる。
先頃、研究者は、NV中心のある蛍光ナノダイヤモンドを細胞間センサとして使用した。コンファランスで発表される研究で、研究者はFNDsトラッピングと、単一細胞におけるダイヤモンドベースセンシングの一般的なスピンベースのフォトルミネセンス計測技術を統合している。FNDsはまず、ヒト白血病細胞株の細胞に取り込まれ、さらに細胞が生きている間に低パワーで、NIRレーザ(1064nm)によってトラップされた。
ナノスケールセンシング
ナノダイヤモンドを細胞内あるいは/また細胞表面に置き、研究チームはT1緩和計測行って、そのセンシング能力をテストした。この方法は、グリーンレーザパルス(532nm)のON/OFFスイッチングを必要とする、それはNV中心の電子スピンを偏向させ、次にそれらを均衡に戻す。偏向構成は、均衡状態よりも蛍光が強いので、チームは蛍光の強度レベルを光学的にモニタリングすることでスピン緩和率を判断する。
周囲環境の磁気ノイズが、スピン緩和率に影響を与えるので、様々な場所にあるナノダイヤモンド間のスピン緩和率を比較することで研究者は、細胞内の磁気の渦マップを作ることができる。そのデモンストレーションによって、光トラップされてた蛍光ナノダイヤモンドが、生きた細胞の磁場や温度などの特性を分析する正確で柔軟な方法を表することがわかった。
「ダイヤモンドナノ粒子の光トラッピングとナノダイヤモンドベース量子センシングの組合せは、細胞の機械的特性研究の強力なツールになり得る。光トラッピングは、非常に高精度でナノダイヤモンドベースのセンサを保持するのに役立つので、ナノスケールレベルでより正確な計測ができる。特に、光トラップされたナノダイヤモンドのT1緩和時間測定は細胞のフリーラジカル検出に使える。フリーラジカルは、細胞や組織に損傷を与える高反応性分子である。フリーラジカルは、代謝のために体内で自然に生まれる、また放射能あるいは毒など環境要因に触れることでも生成される」(Kalantarifard)。「フリーラジカル検出に光トラップされたナノダイヤモンドの利用には、いくつかの利点がある。これには、高感度、非侵襲性、T1緩和時間のリアルタイムモニタ能力が含まれる。この技術は、細胞に対する酸化ストレス効果の研究に使える。また、ガン、神経変性疾患などの病気の診断や処置で応用可能性がある」。