April, 11, 2023, 和光--理化学研究所(理研)放射光科学研究センター 利用技術開拓研究部門 SACLA利用技術開拓グループの岩田 想 グループディレクター(京都大学大学院 医学研究科 教授)、分子動画研究チームの南後 恵理子 チームリーダー(東北大学 多元物質科学研究所 教授)、高輝度光科学研究センター XFEL利用研究推進室 先端光源利用研究グループ 実験技術開発チームの登野 健介 チームリーダーらの共同研究グループは、ビフィズス菌の解糖系酵素の立体構造を常温下で決定し、その酵素の反応メカニズムに関する新たな知見を見いだした。
研究成果は、生理的環境下に近いタンパク質構造を取得することで、酵素反応メカニズムの解明に有用な情報が増える可能性を示しており、各種酵素の高機能化設計などを通して、酵素の産業利用の高度化に貢献すると期待できる。
今回、共同研究グループは、X線自由電子レーザ(XFEL)施設「SACLA」において連続フェムト秒結晶構造解析(SFX)法により、ビフィズス菌の解糖系酵素の一つであるホスホケトラーゼの常温構造解析に成功した。
その結果、ホスホケトラーゼの活性部位の入り口に位置する小さなループ状構造が、従来の極低温構造とは異なっていることを発見した。同時に実施した阻害剤との複合体構造の特徴も踏まえた考察により、ホスホケトラーゼの反応メカニズムに関する新たな知見を得ることができた。解析に必要なホスホケトラーゼの微小結晶は光誘起タンパク質結晶化プレートを用いて取得し、この結晶化法がSACLAでの構造解析の効率化に有効であることも分かった。
この研究はSACLA産学連携プログラムにて行われ、科学雑誌『Acta Crystallographica Section D』オンライン版(3月28日付)に掲載された。
(詳細は、https://www.riken.jp)