April, 7, 2023, Göttingen--われわれは皆、身体の黒と白のありふれたX線画像を見たことがある。だが、バイオメディカル研究者は、蛍光X線(XRF)など先進的イメージング技術を実行している際、化学成分の区別を必要とすることが時々ある。
ドイツの研究チームは、標的サンプルで化学物質の濃度と分布を示すフルフィールド蛍光X線画像を素早く撮る方法を提案した(Optica, doi: 10.1364/OPTICA.477809)。
その技術は、時間のかかるサンプルスキャニングを除去し、産業技術、材料科学、芸術作品保存など多様な分野で利用することができる。
集光改善
従来のXRFでは、研究者は、集光ビームで材料をスキャンして、蛍光物質により放出されるフォトンを収集する。ところが、一般的な研究室で用いられるX線源は、インコヒレント放射を生成する。これは光の集光を難しくするので、ユーザは、ナロービームで対象をスキャニングしなければならない。高輝度シンクロトロン源は、コヒレンスが優れているが、特別な施設まで行く必要がある。
近年、研究者の中には、符号化開口マスクを備えたフルフィールドXRFイメージングを試すものがあった。これは、グリッド、画像プレーンに既知の高エネルギー放射のシャドウを放つグレーティングである。アナログ画像再建と組み合わせると、いわゆる改良均一冗長アレイ(MURA)のマスクタイプは、使えるが、その位置の小さな欠陥が実験を台無しにする可能性がある。
フレネルゾーン部とがアルゴリズムに適合
実験室でフルフィールドイメージングに必要なフォーカスレベルを達成するためにゲッティンゲン大学の研究者は、蛍光放出サンプルとディテクタの間に挿入できるフレネルゾーンプレート(FZP)を考案した。MURAの構造と位置は、精密に知っておく必要があるが、研究者は、ゾーンプレートセットアップからデータを再建するための高速アルゴリズムを利用できる。
ゲッティンゲン大学チームの実験で、回転アノードをもつX線は、インコヒレント光線を放出し、続いて湾曲ミラーペアによりコリメートされた。コリメートされたビームは、角度10°でターゲットサンプルに当たった。結果としての蛍光は、全方向に向かい、その一部が金被覆ゾーンプレートを透過し、X線カラーカメラに当たった。カメラは、検出された様々なエネルギーをもつフォトンを区別した、また計算アルゴリズムは、その分析を完成させた。「われわれは、各X線カラーで鮮明な画像を迅速かつロバストに同時に作れるアルゴリズムを開発した」とJakob Soltauは説明している。
ゲッティンゲン大学教授、研究チームリーダー、Tim Saldittによると、実験の主要課題は、全ての実験パラメタを均衡させる「スイートスポットの発見」だった。視野、フォトンフラックス、蛍光収率、幾何学的制約などである。
多くの潜在的アプリケーション
Saldittによると、研究グループは、生物組織の3Dイメージングに大いに関心がある。新しいフルフィールドXRF技術の最適化により研究者は、シングルスキャンでサンプルの構造と局所的化学成分のイメージングができる。XRFは、製造されたコンピュータチップの品質検査、土壌サンプルの分析にも利用される。
数ヶ月で、ゲッティンゲンの研究者は、より高解像度、短いアクイジションタイムで実験パラメタを改善するためにシンクロトロン光源で予定されたビームタイムを利用する、とSaldittは語っている。