March, 31, 2023, 京都--京都大学などの研究グループは、ペロブスカイト太陽電池の高性能化を可能にする三脚型の正孔回収単分子材料(Phosphonic acid functionalized triazatruxene, PATAT)を開発した。
π共役骨格に基板への吸着基(アンカー基)を複数個導入したPATATは、透明電極基板上に溶液として塗ることで、分子のπ共役骨格平面が水平方向に「パタっ」と寝た構造の単分子膜を形成することを、先端分光法による測定と理論計算結果により明らかにした。この水平配向したPATATの単分子層はペロブスカイト層から効率的に正孔を取り出すことを可能にし、これを用いたペロブスカイト太陽電池で23%の光電変換効率を達成した。また、同デバイスは高い耐久性も発現し、窒素ガス雰囲気下での保管で >2000時間、および100時間の連続光照射後でも安定に95%以上の出力を保持することも確認した。
研究成果は、2023年3月23日に、化学会誌「J. Am. Chem. Soc.」にオンライン掲載された。
研究グループ
若宮淳志 化学研究所教授、チョンミンアン 同助教、山田琢允 同特定助教、金光義彦 同教授、塩谷暢貴 同助教、長谷川健 同教授、菅大介 同准教授、島川裕一 同教授、吉田弘幸 千葉大学教授、飯久保智 九州大学教授、辻雄太 同准教授、鈴木孝紀 北海道大学教授
(詳細は、https://www.kyoto-u.ac.jp)