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カニ殻から生分解性光コンポーネントを作製

March, 30, 2023, Loyola Heights--アテネオ・デ・マニラ大学(Ateneo de Manila University)の研究者は、カニ殻をバイオプラスチックに変えるプロセスを開発した。バイオプラスチックは、回折格子として知られる光コンポーネントを作製するために使える。結果としての、軽量、安価なグレーティングは生分解性であり、使い捨てできるポータブル分光計を可能にする。

フィリピンのアテネオ・デ・マニラ大学、研究チームリーダー、Raphael A. Guerreroは、「カニ殻廃棄物の代替利用を見つけたかった。カニ殻のキトサンをシリコーンの生分解性置き換えとして利用できるかどうかを検討することを決定。シリコーンは、回折格子作製に当研究室で以前に使ったことがある」とコメントしている。

Applied Opticsで研究チームは、キトサンベースバイオプラスチックが商用入手可能なものと類似機能の回折格子作製に使えることを示した。

「キトサン製グレーティングは、生分解性であり環境にやさしい。カニ殻は、一般に廃棄物と考えられているので、極めて安価である。有用な光コンポーネントが一般に廃棄物と見なされている材料から作製可能なことを示すことで、光製造の持続可能性促進、廃棄が必要なシーフード量を減らすことに貢献する」とGuerreroは、話している。

カニ殻からオプティクス
研究チームは、、有望な光学特性をもつキトサン研究を決定した。溶液としての精製形態では、キトサンは透明であり、シリコーンと全く同様に型で作ることが可能である。また、特定のアプリケーションにとって重要な高い屈折率をもつ。

カニ殻からキトサンを抽出するためにチームは、地元の加工工場から集めた殻を洗い、オブンで乾かした。殻は粉末に砕かれ、化学プロセスを使ってキトサン溶液にされた。

研究チームは、ソフトリソグラフィを使い、キトサン溶液からグレーティングを作製した。これは、対象物のナノスケール表面特性をコピーするためのシリコーンモールドを使用する複製プロセスである。プロセスは、商用入手可能な回折格子のシリコーン型を用意し、それにキトサン溶液を流し込む。溶液が固化すると、それは商用のグレーティングの複製になる。

「レーザエッチングなどのサブトラクティブ法と違い、われわれのソフトリソグラフィ技術は、キトサン廃棄物を生み出さない。われわれは、キトサンの物理特性を改良し、変化する化学的ステップによる特別な要件によりよく適合させることができる」(Guerrero)。

回折格子は、白色光をその構成色に分ける数千の微細な溝の表面をもつ。白色光を使ってキトサングレーティングを照射すると、予想通りのレインボーパタンを明確に見ることができた。チームは、原子間力顕微鏡を使って、キトサングレーティングの溝の間隔がオリジナルの商用グレーティングのものに対応することも確認した。最終的に、レーザビームによるキトサン回折格子のテストは、正確な回折パタンを作り出した。

使い捨て分光計
「回折格子は、分光計の主要コンポーネントである。分光計は、光がサンプルと相互作用する仕方を分析して、その化学組成を判定するために、様々な産業および科学的アプリケーションで使用される計測器である。従来のグレーティングは、一般にガラスなどの重い素材で作られていたが、キトサン製グレーティングは、分光計を軽量、安価にするために利用できる」(Guerrero)。

研究チームは、まだキトサングレーティングの耐久性をテストしていない。とは言え、フィールドワークで使用する使い捨て分光計には適している。そのような計測器は、水流の水汚染、あるいは工場フロアで食品、製剤の分析に使うことができる。材料は生分解性であるので、キトサン製デバイスは環境に対する影響は、最小である。研究チームは、キトサングレーティングを実世界アプリケーションで実際にするためにパワー効率改善に取り組んでいる。