October, 16, 2014, Washington--ハーバードスミソニアンセンタ天文物理学、Chih-Hao Li氏とDavid Phillips氏は、肉眼で見える金星を再発見したいと考えている。
最初に金星が発見されたのは遠い昔のことだが、研究チームはイタリア国立望遠鏡に導入された強力な新しい光学機器を用いて、2度目の金星発見を計画している。この装置によって、金星に対する太陽の引力を正確に計測することになる。これが成功すると、この新技術ではこの種のデモンストレーションは初めてとなり、遠くの星を周回する地球のような系外惑星の発見にこの技術が使われることになる。
天文学者は、これまでに1700以上の系外惑星を特定してきており、中には数100光年離れた惑星もある。ほとんどは従来のトランジット法で発見された。この方法は、惑星が主星の恒星面を通過したときの減光を計測する方法。この方法では、惑星のサイズは分かっても、その質量は分からない。
研究チームは、「視線速度法」を使用するための緑のアストロ-コムとして知られるレーザベースの新技術を開発している。これは、遠くの惑星の質量について補完的な情報を与えてくれる。この情報から天文学者は、発見した遠くの系外惑星が地球のように岩石の多い世界であるか、木星のように低密度のガス状巨大惑星であるかを判定することができる。この方法は、高精度であるので、天文学者が、軌道距離、液体としての水が存在する「スイートスポット」、地球のように「居住可能地帯」であると判断するための助けになる。
視線速度法は、系外惑星の重力が星から発せられる光をどのように変化させるかを計測することで機能する。系外惑星は星を周回するので、星との綱引き(引力)が、惑星が地球に近づく時の速度、地球から遠ざかる時の速度をわずかに変える。星が地球に近づくとわずかにスピードが上がり、各光の波は到着するまでにわずかに時間が早まる。地球上の観察者には、その波の頂上が本来よりも密集しているように見える。したがって、周波数が高くなり、より青く見える。星が遠ざかると、頂上は離れて動き、周波数は低く、より赤く見える。
この動きに基づいた周波数の変化はドップラーシフトとして知られている。天文学者はデジタルカメラのピクセルに星のスペクトラムを捉え、それが時間の経過と共にどのように変わるかを観察することでそれを計測している。
現在最良のスペクトログラフは1m/sec程度の速度変化によって起こるドップラーシフトを計測できるだけであるが、研究チームが現在開発している新しいアストロ-コムは10㎝/secのドップラーシフトを検出でき、これは数100光年離れていても、居住可能帯がある地球のような惑星を見つけるのに十分な精度である。
「アストロ-コムは、8000ラインのレーザ光をスペクトログラフに注入することで動作する。これらのラインは、同じピクセルを、同じ波長の星の光として叩く。これによってコム(櫛)のような一連のラインが生じ、われわれはスペクトログラフをピクセルの1/10000までマップすることができる。したがって、ピクセルのこの部分に光があれば、正確にその波長が何であるかを言うことができる」とPhillipsは説明している。
「このようにスペクトログラフを調整することで、スペクトログラフのパフォーマンスに影響を与える温度や湿度の、非常にわずかな変化も考慮にいれることができる。こうして今夜とったデータと5年前の同じ星のデータを比較し、そのように非常に小さなドップラーシフトを見つけ出すことができる」と同氏は話している。
アストロ-コムは数年前に開発されたが、赤外と青い光でしか使えなかった。新しいバージョンでは緑の光も計測できる、緑は系外惑星発見により適している。
グリーンアストロ-コムは、赤いレーザ光を緑の波長に変換する必要があったことから、実現は簡単ではなかった。研究チームは、光の色を別の色に変換する小さなファイバを作製することでこの課題を克服した。
ハーバードスミソニアンのチームは、このデバイスをHigh-Accuracy Radial Velocity Planet Searcher-North (HARPS-N)、イタリアの国立望遠鏡を使って系外惑星を探索するために設計された新しいスペクトログラフに導入しようとしている。