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超伝導の新しいメカニズム「量子液晶揺らぎによる電子対形成」の検証に成功

March, 16, 2023, 東京--東京大学などの研究グループは、量子液晶状態の量子力学的な揺らぎ(量子液晶揺らぎ)によって超伝導電子対の結合の強さが増強されることを実験的に明らかにした。

超伝導状態の物質に磁場をかけていくと、ある大きさで超伝導が消失する。研究グループはこの性質に着目し、鉄系超伝導体のひとつ Fe(Se,Te)の超伝導が消失する磁場の大きさ(上部臨界磁場)を測定し、超伝導が磁場を大きくしていくとどのように変化していくのかを調べた。その結果、磁場が大きくなるにしたがって超伝導状態が徐々に縮小し、そこでは強い量子液晶揺らぎが発達していることがわかった。量子液晶揺らぎによって、超伝導電子対の形成を促す相互作用が強くなることを実証した。

今回の成果は、「量子液晶揺らぎによる電子対形成」という新しいメカニズムによる超伝導が実現可能であることを示すものであり、これまでよく知られている磁気的な揺らぎによる超伝導と比較することによって、超伝導の発現機構に対する理解が大きく進展することが期待される。

研究成果は2023年3月6日付けで、米国科学誌 Physical Review Xにオンライン掲載された。

研究グループ
東京大学大学院新領域創成科学研究科の向笠清隆大学院生(研究当時)、石田浩祐大学院生(研究当時)、芝内孝禎教授、同大学物性研究所の今城周作特任助教、金道浩一教授、岡山大学異分野基礎科学研究所の笠原成教授、弘前大学大学院理工学研究科の渡辺孝夫教授(研究当時)
(詳細は、https://www.k.u-tokyo.ac.jp)