March, 15, 2023, 東京--日本電信電話株式会社(NTT)は、東京大学、理化学研究所(理化学研究所)と共同で、5Gに代表される最先端の商用光通信テクノロジを光量子分野に適用させる新技術を開発した。これにより、光通信用検出器を用いて世界最速の43 GHzリアルタイム量子信号測定に成功した。
この成果は従来の量子コンピュータ開発手法を、空間的な並列化と微細加工によるチップ化を基軸とした古典コンピュータ開発の系譜から、時間と波長による並列化と高速化が可能な光通信システム開発の系譜へと一新するパラダイムシフトをもたらす。
同技術は、10 GHz超クロック周波数で動作する高速量子計算の実現に大きく寄与するだけでなく、近年の超高速光通信技術の一つである波長分割多重化技術(WDM技術)と組み合わせることで装置規模をそのままに、光量子コンピュータプロセッサのマルチコア化を可能とする。将来的には100 GHz帯域の高速性と、100コアの並列性を兼ね備えたスーパー量子コンピュータの実現をめざす。
研究成果は、2023年3月6日(米国時間)に米国科学誌「Applied Physics Letters」において掲載された。
発表の要点
・莫大な投資と技術蓄積がなされてきた超高速光通信テクノロジ(5Gテクノロジ)と、光量子プロセッサを融合させ、光量子コンピュータを高速化する新技術を開発した。
・開発した光パラメトリック増幅器を用いることで、超高速光通信用ディテクタが量子測定に適用可能となり、世界最速の43 GHz帯域でリアルタイムな量子測定に成功した。
・これを5Gテクノロジの一つである波長分割多重化技術(WDM)と組み合わせることで、マルチコア光量子コンピュータを構成することができ、スーパー量子コンピュータ実現への道を拓いた。
(詳細は、https://group.ntt/jp)