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近赤外吸収色素が持つ特殊な電子構造を発見

February, 16, 2023, 大阪--大阪公立大学の共同研究グループは、これまで閉殻分子とみられていた近赤外吸収色素が、閉殻と開殻の中間的な電子構造を持つことを発見した。また、色素内で開殻構造の割合が増加すると、吸収できる近赤外光の波長が長くなることを明らかにした。

スマートフォンカメラの赤外線カットフィルタやセキュリティインクには、目に見えない近赤外光を効率よく吸収するために近赤外吸収色素が使用されている。これまで、化学的な安定性の観点から閉殻構造を持つ色素の開発が行われてきたが、吸収できる近赤外光の波長が短いため、より長波長の近赤外光を吸収できる色素が必要だった。
この研究で発見した近赤外吸収色素の新たな特性を活かして、長波長の近赤外光を吸収可能な、新しい近赤外吸収色素の開発が期待される。

「これまで知られていなかった近赤外吸収色素の電子構造を解き明かした。これを契機に分子設計・物性・機能・応用に関する近赤外吸収色素の化学が進展し、社会実装可能な近赤外吸収有機材料の開発に繋がることを期待してい」(前田 壮志准教授)。

研究成果は、英国王立化学会が刊行する国際学術誌「Chemical Science」のオンライン速報版に、2023年1月16日に掲載された。

研究グループ
大阪公立大学大学院 工学研究科の岡大志大学院生(博士後期課程1年)、前田壮志准教授、鈴木直弥助教、八木繁幸教授と理学研究科の藤原秀紀教授、酒巻大輔助教、産業技術総合研究所 材料・化学領域 ナノ材料研究部門の鎌田賢司上級主任研究員、小西龍生氏(当時 関西学院大学連携大学院生)ら

(詳細は、https://www.omu.ac.jp)