February, 8, 2023, Washington--マギル大学の研究者によると、珪藻の殻の光学分析から得られる情報は、いずれ、様々な光ベースのデバイスやコンポーネントを改善する可能性がある。
新しい研究は、珪藻のガラスのような殻、これら微生物が薄暗い状態でどのように光合成を行うかを明らかにした。これら植物プランクトンが光を収集し、相互作用する仕方の理解向上は、ソーラセル、センシングデバイス、光コンポーネントの改善につながる。
カナダ、マギル大学(McGill University)のSantiago Bernalは、「われわれが開発した計算モデルとツールキットは、量産、持続可能な光デバイス、より効率的な珪藻シェルベースの光収集ツールへの道を開く」と話している。「これは、センシング、新しい通信技術、あるいはクリーンエネルギー生成の手頃な方法のための生体模倣デバイスに使える」。
珪藻は、ほとんどの水域に見つかる単細胞生物。そのシェルは、光に反応する穴で覆われており、そのサイズ、間隔、構成により反応が異なる。Optical Materials Express誌で、マギル大学の研究者、David V. PlantとMark Andrewsは、珪藻シェル全体の初の光学研究を報告している。研究チームは、シェル、つまり被殻の様々なセクションが陽光にどう反応するか、この反応が光合成にどのようにつながるかを分析した。
「われわれの研究成果に基づいて、被殻が光合成強化に9.83%貢献できると推定している、特に高い日差しから低い日差しへ移行する間である。われわれのモデルは、被殻全体の光学的挙動の初の説明である。したがって、それは、被殻が珪藻の光合成を強化するという仮定に貢献する」と論文の筆頭著者、Yannick D’Melloは説明している。
顕微鏡とシミュレーションの組合せ
珪藻は、数100万年進化して、どんな水域環境でも生存している。これは、連携して陽光を収集する多くの領域で構成されるシェルを含む。珪藻被殻の光反応を調べるためにチームは、コンピュータ工学シミュレーションと複数の顕微鏡技術を組み合わせた。
研究チームは、4種の高解像度顕微鏡を使い被殻の構造をイメージングすることから始めた。走査型近接場光学顕微鏡、原子間力顕微鏡、走査型電子顕微鏡、暗視野顕微鏡。次に、チームは、一連のモデルの情報を満たすこれらの画像を利用した。モデルは、3Dシミュレーションにより被殻の各部分を分析するために研究チームが構築したものである。
これらのシミュレーションを使い、チームは、太陽光の様々な色が、その構造とどのように相互作用し、3つの主要太陽光発電メカニズムを特定した。収集、再配置、保持である。このアプローチにより、被殻の様々な光学面を統合し、光合成を支援するためにどのように協働するかを示した。
「われわれは、様々なシミュレーションと顕微鏡技術を使って、個々の成分を個別に調べた。そのデータを使って光がその構造とどのように相互作用するかの研究を構築した。つまり、光を捉えた瞬間から、その後、再配分されるところまで、それが保持される時間、さらにセルに吸収される瞬間までである」(D’Mello)。
光合成の強化
研究は、シェルが相互作用する波長が光合成中に吸収された波長と一致することを明らかにした。このことは、太陽光の収集に役立つように進化することを示唆している。チームは、被殻の様々な領域が、光を再配置してセル全体で吸収されるようにしていることを確認した。これは、シェルが進化して周辺光への細胞の露出を最大化することを示唆している。その研究成果は、高から低照射への移行周期中に光合成を長く支援するように、被殻内で光が周回していることを示していた。
新しい被殻モデルは、様々な波長で光を収集する珪藻種の培養を可能にするので、それらは特別なアプリケーション向けにカスタマイズ可能である。「珪藻のこれら集光性メカニズムを使って、より多くの角度で太陽光を収集できるようにすることでソーラパネルの吸収を改善できる。したがってパネルを直接太陽に向ける依存性を部分的に除去することになる」(Bernal)。
研究チームは、現在そのモデルの改善に取り組んでおり、その新しいツールキットを他の種類の珪藻研究に適用する計画である。その後で、チームは、多数の被殻間の挙動を調べるために単一被殻内で光の相互作用を超えて拡大する予定である。