February, 6, 2023, Shenzhen--リチウムイオンバッテリー価格が下がり続けているので、従来自動車および他の車輌で使われいた鉛電池が急速に置き換えられつつある。これにり、古い鉛電池が急に増えることになり、適切なリサイクルが行われないと、環境や人間に害がでる。この問題への対処に役立つように研究チームは、古い鉛電池をUV可視光帶で動作するフォトディテクタに変える環境に優しい方法を開発した。
中国、南方科技大学の研究チームリーダー、Longxing Suは、「このリサイクリング戦略は、廃棄鉛電池からの鉛公害を著しく減らすとわれわれは考えている。この点は、環境にとって重要である」とコメントしている。「そのフォトディテクタは、リサイクル鉛に市場を作ることでリサイクリング経済を促進する。さらに、光通信、科学分析およびイメージングを含む多様なアプリケーションで、そのフォトディテクタは利用可能である」。
Optics Lettersで研究チームは、廃棄された鉛電池から鉛を抽出し、それを使って、フォトディテクタでの利用に適したヨウ化鉛(PbI2)マイクロ結晶を合成するプロセスを説明している。
「リサイクルされたPbI2マイクロ結晶は、フォトディテクタ作製に必要な品質と純度を示している。そのマイクロ結晶が優れた安定性、再現性、高速応答速度のフォトディテクタに利用できることも示している」(Su)。
古いバッテリーへの新たな利用
古い鉛電池の鉛はリサイクルできるが、このために利用するほとんどの方法は高価であり、様々な欠点がある。研究チームは、鉛電池内の鉛ペーストからPbI2を生成する効率的な戦略を開発した。
ペーストから鉛を抽出するためにチームは、ワンポット製法を開発した。これには安価で、簡単に入手できる化学物質と、コスト増となる非商用前駆体が必要なだけである。そのプロセスは、ペーストを、過剰なクエン酸一水和物、クエン酸ナトリウム二水和物おび過酸化水素の混合溶液に入れる必要がある。その過剰なクエン酸ナトリウム二水和物により、生成されたほぼ全てのクエン酸鉛を混合液の中で分解する。その混合物は次に、濾過されて鉛を含む透明液となる。過剰なヨウ化水素酸をその溶液に加えると、黄色のPbI2沈殿物が形成される。これを集めて真空で乾かす。
研究チームは、次に簡単なスピンコートプロセスを利用して、このプロセスで造られたPbI2を使いフォトディテクタを作った。チームは、300W Xe-ランプをUV-可視光源として利用し、さらに半導体パラメタ計測器を電気信号コレクタとして用いて、そのフォトディテクタの光応答を調べた。作製したPbI2フォトディテクタは、低暗電流1.06nA、10Vバイアス電圧で103のON/OFF率を示した。
次のステップ
研究チームは、現在、そのプロセスを拡張してリサイクルPbI2を量産するために取り組んでいる。商用化前に、そのリサイクルPbI2と、それから作られたフォトディテクタが、下流製品組込に関心を持つ独立の試験機関や会社によって評価される必要がある。
「われわれの方法が市場展開につながるように、われわれの研究が化学会社や下流の企業に注目されればよいと考えている。われわれのグリーン反応物リサイクル法は、太陽電池製造など、他のアプリケーションでも役立つ可能性がある」(Su)。