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光学コーティングアプローチで曇りや不要な反射を防ぐ

January, 27, 2023, Jena/Washington--Fraunhofer IOFの研究チームは、防曇と反射防止特性を統合した光学コーティングシステムを開発した。その新技術は、LiDARシステムやカメラの性能強化に役立つ。

「寒い戸外から暖かい部屋に入ることは、ガラスが曇る原因となり、ユーザの目を眩ます。同じことが、自動運転車で使用されるLiDARシステムのようなセンサでも起こりうる。例え霧が出ても、機能を保持するために、表面の高い透明性を維持することは重要である」と、ドイツ、イェーナ、Fraunhofer応用光学&精密工学研究所、 Friedrich Schiller University Jena、研究チームリーダー、Anne Gärtnerは説明している。

Applied Opticsの論文で、Gärtnerとチームは、曇りを防ぐポリマコーティングと反射低減多孔質二酸化ケイ素ナノ構造をどのように統合したかを説明している。論文で説明されているコーティングは、特にLiDARシステム用に設計されているが、同技術は、多くの多様なアプリケーション向けに調整可能である。

「われわれのコーティングシステムでは、防曇と反射防止特性が見事に統合されている。これは、以前には実現できなかった。この新しいコーティング技術で作製されたサンプルは、世界中の様々な気象条件で動作する複数の航空機搭載LiDARプロトタイプで一年間、利用に成功している」(Gärtner)。

はっきり見える
論文で説明されているコーティングシステムは、スイス、Heerbrugg のLeica Geosystemsで確認された必要性に応えて開発された。Leica Geosystemsは、大地や都市のマッピングに使用する航空機搭載LiDAR計測システムを開発している。環境と計測システムの間に極端な温度差があると、光学面に時々曇りが発生し、機能を損なう。研究チームは、Leica Geosystemsと協力して、望ましくない光反射とともに曇りに対処するソリューションを開発した。

「われわれは、光学表面で貯水器のように機能させることで曇りを防ぐポリマを使用した。しかし、ポリマ材料と周囲空気の屈折率差が、不要な反射、ゴーストライトを生み出す。これらの反射を防止するために、われわれは、微小構造、最大高さ320nmの反射防止膜を組み込んで、透水性とともに反射防止効果を生み出した」(Gärtner)。

多機能コーティングシステムを作るために研究チームは、Fraunhofer研究所(Applied Optics and Precision Engineering)で開発されたAR-plas2技術を適用した。それにより複数のナノ構造を上に重ねて作ることができる。ナノ構造をコーティングにエッチングし、次に上に第二のナノ構造を作製する必要があった。この技術で、広いスペクトル範囲で極めて低い反射率を達成するために、そのダブルナノ構造の設計を調整、さらにナノ構造の反射率を調整することができる。

研究チームは、熱湯の上に光学系の反射防止/曇り止め側を保持した後に得られた分光光度計とくもり測定を使ってそのコーティングシステムの反射防止および曇り止め効果をテストした。これらラボ実験は、多層システムが、広いスペクトル範囲で非常に低い反射特性を示すことを示した。これは、単一ナノ構造では不可能と考えられる。さらに、そのナノ構造は、コーティングの曇り止め特性に影響を与えなかった。

実世界のアプリケーション
その構造は、標準のプラズマイオンアシストコーティング装置で製造されるので、その新しいアプローチは、商用製造工程に簡単に組みこめる。複数のLiDARプロトタイプシステムへの適用に加えて、そのコーティング技術は、すでに最先端のスマートフォンカメラに利用されている。

研究チームは、そのコーティングシステムを他の分野、例えば自動車分野の適応型照明システム、あるいは量子コンピュータの開発にどのように移転できるかを研究している。

「光学系は、ますます複雑になっており、したがって画像品質に対する要求も高まっている。ナノ構造で、素晴らしい成果を達成する反射防止特性が実現可能となる。これは、従来のコーティングでは、達成できないことがよくある、。最近数年でわれわれが獲得した基本的な理解により、ナノ構造コーティングが多くの実世界アプリケーションに適用できると考えている」(Gärtner)。