January, 27, 2023, Washington--浙江大学(Zhejiang University)の研究チームは、透明に見え、機械的に柔軟なシルバーメッシュが、高品質の赤外ワイヤレス光通信を可能にし、マイクロ波領域のXバンド部分で電磁干渉を効率的遮蔽(シールド)することを初めて示した。光通信チャネルは、多くのデバイスの動作にとって重要であり、リモートセンシングや検出に使われることもよくある。
電子デバイスは、現在われわれの家庭、工場フロアや医療機関で使われている。電磁干渉シールドは、これらのデバイスからの電磁放射が相互に干渉しデバイスの性能に影響することを防ぐ。
電磁シールドは、軍事では、装置や車輌を敵から隠すためにも使用される。また、リモートセンシング、デバイスの検出あるいは動作に必要な光通信チャネルをブロックできる。干渉を阻止できるが、光通信チャネルは通すシールドは、様々な民間および軍事設定デバイスのパフォーマンス最適化に役立てられる。
「多くの従来型透明電磁干渉シールドは、可視光信号だけを通す。しかし、可視光は、光通信への適合性が低い、膨大な量の背景雑音があるので、特にフリースペース光通信では適さない」と浙江大学の研究チームリーダー、Liu Yangは説明している。
Optical Materials Express誌で研究チームは、新しいメッシュを説明している。透明シリコーンとポリエチレンを組み合わせると、Xバンドで26.2%の高い平均電磁シールドを達成できる。赤外を含む広い波長範囲で光透過率は高い。
「われわれは、金属マイクロメッシュの広帯域透明性とローヘイズを利用して、効率的な電磁シールド、可視光透明性、高品質フリースペース光通信を実証している」(Yang)。「メッシュを透明材料で挟むと、シルバーメッシュの化学的安定性と機械的柔軟性が改善される。同時に自己洗浄品質も得られる。これらの特性によりわれわれのシルバーメッシュは、屋内外、腐食性面および自由形状面にさえ、広く適用可能になる」。
フレキシブルで透明なメッシュ
研究チームは、非常にシンプルな構造の新しいシルバーメッシュを設計した。透明で柔軟なポリエチレン面に反復的正方グリッドパタンを適用している。その連続グリッド構造によりシルバーメッシュは、曲げ応力を解放することで、非常に柔軟になる。シルバーメッシュの透明性は、メッシュの穴サイズ、開口比によって決まるので、入射光波長には依存しない。
「例えば、大きな開口比は、高い、ブロードバンド透明性やローヘイズに都合がよいが、高導電性には、つまり電磁シールドパフォーマノンスには害になる」(Yang)。「われわれのメッシュの物理的パラメタは、グリッド周期、線幅、厚さを変えることで簡単に最適化できるので、シルバーナノワイヤネットワーク、超薄金属膜、炭素ベース材料など他の種類の透明導電膜でできることに比べて、バランスの取れた光、電気および電磁特性を達成することは容易である」。
その新技術を実証するために研究チームは、ポリエチレン基板にシルバーメッシュを作製した。メッシュは、グリッド周期約150µm、グリッドライン幅約6µm、厚さは59~220nmの範囲だった。これを次に60-µm厚のポリジメチルシロキサン層で覆った。結果としての膜は、400~2000nmの波長域で高い透明性を示し、シート抵抗は、7.12 Ω/sqと低く、Xバンドで電磁シールド効果は最大26.2dBと高かった。チームは、その膜が低周波モバイル電話信号をシールドすることも示した。
この研究は、研究チームによると、プロトタイプデモンストレーションに過ぎない。したがって、改善の余地は大きい。例えば、より導電性の優れた材料を使うと電磁シールド効果改善となり、透明度が高く、より低ヘイズの材料は、可視透明性だけでなくFSO通信品質を改善できる。
チームは、中赤外透明導電材料を調べている。これらは、FSO通信をさらに長波長側に拡大する。したがって、大気干渉低減、より高い通信品質が達成できる。商用化には、メッシュのインストールをもっと実用的にし、安価にする必要がある。