January, 26, 2023, 和光--理化学研究所(理研)開拓研究本部 東原子分子物理研究室の木村直樹 研究員、久間晋 専任研究員、東 俊行 主任研究員、電気通信大学 レーザー新世代研究センターのプリティ 特別研究員(研究当時、現 核融合科学研究所 COE研究員)、中村信行 教授らの共同研究チームは、多価イオン(正もしくは負の方向に2価以上帯電した原子・分子の総称)の新分光手法「時間分解プラズマアシストレーザー分光」を実証し、原子のエネルギー準位のごく小さな分裂である超微細構造の観測に成功した。
研究成果は、原子、原子核、プラズマなど幅広い分野において、多価イオン分光を用いた新しい研究展開をもたらすと期待でき、特に次世代の原子時計の候補として期待される多価イオン原子時計の開発に向けて、貴重な分光測定値を提供する。
今回、共同研究チームは、電子ビームイオントラップ(EBIT)という実験室プラズマの中で準安定状態の多価イオン(ヨウ素-127の7価イオン、127I7+)を準備し、パルスレーザの照射によって10マイクロ秒(µs、1μsは100万分の1秒)以下の短い時間だけ生じる、極端紫外光を観測した。また、特殊なプラズマ条件を採用して、別の分裂要因であるゼーマン分裂を抑えたことで、レーザ分光スペクトル上に多電子重元素多価イオン[1]の超微細構造由来の分裂を観測した。
研究成果は、オンライン科学雑誌『Communications Physics』(1月24日付:日本時間1月24日)に掲載された。
(詳細は、https://www.riken.jp)