Science/Research 詳細

半導体量子ビット2次元配列の高精度制御設計手法を開発

December, 23, 2022, 福岡--九州大学大学院システム情報科学研究院の木山治樹准教授、大阪大学産業科学研究所の中村駿吾大学院生(研究当時)、大岩顕教授の研究グループは、量子ドット2次元配列における電子スピン制御の実現に向けて、微小磁石が発生する磁場分布の数値シミュレーションにより、2行2列量子ドット配列用の微小磁石形状設計手法を開発した。形状最適化の結果、シリコンを材料とした量子ドットでは精度99%以上が見積もられ、誤り耐性に必要な高精度制御が期待される。

量子力学に基づいて計算を行う量子コンピュータが、スーパーコンピュータを凌ぐ計算能力を実現する次世代の情報処理技術として注目されている。現在、様々なハードウェア候補が研究されており、その有力候補の一つが、微小な半導体(量子ドット)に閉じ込められた電子スピン量子ビット。現在、電子スピン量子ビットの高精度制御や量子ドット集積化など、基盤技術の開発が急速に進められている。これまで、電子スピン制御については、量子ドット近傍に設置した微小磁石が用いた高精度制御が実現している。大規模集積化には量子ビットを2次元的に配列することが重要だが、微小磁石を用いた電子スピン制御は量子ドット2次元配列においてはまだ実現できていない。
 
 今回の成果をもとに、量子ドット2次元配列の電子スピン制御の実現とその後の大規模集積化への展開、半導体量子コンピュータの実現に向けた貢献が期待される。

 研究成果は 2022 年 12 月 8 日(木)に米国物理学協会の学術誌「Journal of Applied Physics」にオンライン掲載されるとともに、Featured Articleと表紙に採用された。
(詳細は、https://www.kyushu-u.ac.jp)