December, 16, 2022, 仙台--東北大学電気通信研究所の佐藤昭准教授らと理化学研究所光量子工学研究センターの南出泰亜チームリーダーらの研究グループは、グラフェンを使って、室温で動作する高速応答かつ高感度なテラヘルツ波の検出に成功した。
テラヘルツ波の高速・高感度な検出素子として、電磁波吸収で発熱した電子・正孔の空間拡散で生じる起電圧効果を利用する「光電熱型検出素子」が知られているが、電子・正孔の両方が寄与する複雑なバイポーラ型でかつ検出素子の2つの電極に異種材料を用いなければ起電圧が生じず、高性能化と量産化・低コスト化の両立が極めて困難。
研究グループは、グラフェンをチャネルとする電子のみが関与するユニポーラ型で、かつ全ての電極に同一種の金属を用いる単純なトランジスタ素子構造でも検出動作可能な、新たな原理を見い出し、高速・高感度なテラヘルツ波検出に初めて成功した。次世代6G&7G超高速無線通信実現のブレークスルーとなる画期的な成果である。
炭素原子の単原子層材料であるグラフェンは、電子の有効質量がゼロなどの特異な物性を有することから、従来の技術では困難な室温で動作する高速応答かつ高感度なテラヘルツ波検出素子を実現する材料として注目されている。
研究成果は、米国物理学協会(American Institute of Physics)が発行するオープンアクセス国際学術論文誌 APL Photonics にFeatured Articleとして2022年12月2日にオンライン掲載された。
論文は、編集委員会により特に学術的意義・インパクトが高いと評価され。
(詳細は、http://www.tohoku.ac.jp)