December, 9, 2022, 名古屋--名古屋大学未来材料・システム研究所 天野 浩 教授らの研究グループは、旭化成株式会社と共同で、世界で初めてUV-C帯域 274 nmの深紫外半導体レーザー(UV-C LD)の室温連続発振注2)に成功した。
UV-C LDは殺菌や医療を始め幅広い応用が期待される光源で、共同研究グループは2019年、世界に先駆けてUV-C LDの室温パルス発振に成功している。今回その技術をさらに進化させ、より実用性のある直流電源によるレーザ発振に成功した。
共同研究グループは、UV-C LD素子を形成する結晶の乱れがレーザ特性を劣化させることを見出し、全く結晶の乱れが発生しない素子の作製に成功しました。これにより、レーザー発振に必要な駆動電力を従来の1/10までに低減させ、電池駆動も可能な室温連続発振を実現した。
UV-C LDの特長を生かし、医療や殺菌などヘルスケア用途、ウイルス検知や微粒子などの計測やガス分析用途、さらには金属や炭素素材、樹脂素材など微細加工が難しい材料への高精細なレーザ加工用途への応用が期待される。
今回室温連続発振が実現されたことで、様々な応用システムへのUV-C LDの搭載が可能となり、実用化に向けて飛躍的な前進が期待される。今後も共同研究グループは研究を発展させ、試作品を提供できる体制を構築し、アプリケーション開拓を推進する。さらに、2025年度を目途に製品化を目指した取り組みを展開していく。
研究成果は、アメリカ物理学協会の学術雑誌「Applied Physics Letters」に受理され、2022年11月24日17時(日本時間)に名古屋大学学術機関リポジトリで公開された。
(詳細は、https://www.nagoya-u.ac.jp)