December, 7, 2022, Berlin--HZBの研究者によると、これまで1.5 – 5.0 keV.のテンダーエネルギー範囲でX線を使って高感度、高空間分解能で計測することは極めて退屈だった。しかし、このX線は、バッテリや触媒などのエネルギー材料、生命システムの研究に理想的である。
HZB (Helmholtz-Zentrum Berlin)の研究チームは今回、この問題を解決した。新開発のモノクロメータオプティクスが、テンダーエネルギー範囲で光子束を100倍増やし、これによりナノ構造システムの高精度計測ができるようにした。その方法は、触媒活性ナノ粒子とマイクロチップで初めてテストに成功した。
気候中立エネルギー供給は、エネルギー変換プロセスに広範な材料を必要とする。例えば、触媒活性材料やバッテリ向けの新しい電極。これらの材料の多くは、その機能を高めるナノ構造。これらのサンプルを調べるとき、化学特性を検出するための分光計測は理想的には、ナノスケールで高い空間分解能を備えたX線イメージングと組み合わせる。しかし、これらの材料の主元素、モリブデン、シリコンあるいは硫黄などは、いわゆるテンダーエネルギー範囲で主としてX線に反応するので、これまでは大きな問題があった。
これは、この”tender”エネルギー範囲、ソフトおよびハードX線域で、平面格子、あるいは結晶モノクロメータの従来型X線オプティクスが、非常に抵い効率だからでる。HZBのチームは、今回、この問題を解決した。「われわれは新しいモノクロメータオプティクスを開発した。これらのオプティクスは、平面ミラーを持つ適応型、多層被覆鋸歯格子をベースにしている」とHZBオプティクス、ビームライン部のFrank Siewertは説明している。その新しいモノクロメータのコンセプトは、テンダーX線範囲で光子束を100倍増やすので、高分解能、高感度分光顕微鏡計測が初めて可能になる。「短時間でわれわれは、NEXAFS分光顕微鏡からのデータをナノスケールで収集することができた。われわれは、これを触媒活性ナノ粒子と現代のマイクロチップ構造で実証した」と論文の筆頭著者、Stephan Wernerは話している。「その新しい開発により、それがなければデータ収集に何ヶ月もかかる実験を可能にする」とWernerは強調している。
「このモノクロメータは、このX線エネルギー範囲のイメージングでは最もよい方法になる。世界中のシンクロトロンだけでなく、自由電子レーザや研究室の光源でも選択すべき方法になる」とHZB X線顕微鏡部長のGerd Schneiderはコメントしている。同氏は、多くの材料研究分野で膨大な効果を予想している。テンダーX線領域の研究は、エネルギー材料の開発を促進し、したがって電気とエネルギー供給のための気候中立ソリューションに貢献する。
(詳細は、https://www.helmholtz-berlin.de)