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新しい相変化材料を用いた低損失不揮発光位相器を開発

December, 7, 2022, 東京--東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻の竹中充 教授、宮武悠人 大学院生、トープラサートポン・カシディット 講師、高木信一 教授らは、産業技術総合研究所の牧野孝太郎 主任研究員らと共同で、JST 戦略的創造研究推進事業の支援のもと、新しい相変化材料である硫化ゲルマニウムアンチモンテルル(GSTS)を用いた低損失かつ不揮発な光位相器の開発に成功した。
 GSTSをシリコン光導波路上に堆積した素子において、GSTSがアモルファス(非晶質)状態から結晶状態に変化する際に生じる単位損失あたりの屈折率変化が従来技術よりも20倍以上大きくなることを実証した。これにより、光損失が極めて小さく、小型かつ、光位相変化量をGSTSの結晶状態で記憶できる不揮発光位相器を実現した。

光位相器を多数集積したシリコン光回路は光演算による深層学習加速や量子計算への応用が期待されている一方、光位相器の光損失や消費電力、素子サイズなどが集積化の課題となっていた。今回新たに開発した光位相器を用いることで、低損失化や小型化、不揮発化による低消費電力化が可能となる。これにより集積化の課題が解決することから、シリコン光回路を用いた光演算によりムーアの法則に依拠しない新しいコンピューティングの実現に大きく寄与するものであり、Society5.0社会を支える基盤となることが期待される。

研究成果は、2022年12月3日(米国太平洋標準時)に国際会議IEEE International Electron Devices Meetingで発行される「Technical Digest」に掲載された。
(詳細は、https://www.t.u-tokyo.ac.jp)