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生体骨のような新材料 バイオハイエントロピー合金×レーザ金属3Dプリンティングで実現

December, 2, 2022, 大阪--大阪大学 大学院工学研究科の中野貴由 教授、石本卓也 特任教授、松垣あいら 准教授らの研究グループは、レーザを熱源とする金属3Dプリンティング(AM)を用いて、BioHEAの超高強度化と低弾性率化という本来背反する特性を重畳可能であることを見いだした。
 レーザ金属AMによるマクロ相分離(偏析)を抑制し、強制固溶による真のハイエントロピー効果を引き出すとともに、金属AMプロセスによる結晶方位制御により低弾性特性を発揮させた結果である。同時に、加工性と生体親和性の向上ももたらした。

開発した新材料は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、モリブデンで構成される6元系BioHEA。同組成の鋳造ハイエントロピー合金(HEA)と比較して、加工性を保ちつつ、約1.4倍の強度(1,300MPa超)を記録した。AM法による新材料は、骨代替用バイオマテリアルとして、人工関節、脊椎スペーサー、骨固定デバイス(ボーンプレート)などに適用可能であり、あたかも骨として振る舞う骨デバイスとしての新展開が期待される。

研究成果は、Taylor & Francis発刊の速報誌「Materials Research Letters」誌(IF=8.516、CiteScore=13.6)に、11月29日23時(日本時間)に公開されました。

中野教授のコメント
 私は長年、骨組織を中心とした自然界の創製物に倣った機能発現材料の創製に、ナノからマクロに至る階層的構造に着目しつつ取り組んできました。
 生体材料や高温耐熱材料に必要とされる過酷な環境下での力学特性の発現には、骨と類似したナノ・原子レベルでの界面構造が寄与すると仮説をたて本研究プロジェクトをスタートしました。レーザ金属 3D プリンタの超急冷を活用することで、金属材料の溶融・凝固現象を操り、原子レベルでの構造変化がマクロな材料特性を大きく変化させる「ナノ力学」現象を見出した本成果により、自在な機能制御のための「カスタム力学機能制御学」の構築に大きな一歩を踏み出したといえます。応用面からは新ジャンルのバイオマテリアルの創製を可能とし、 “バイオハイエントロピー合金(BioHEA)×レーザ金属AM”により、本来の常識を覆す高強度・高延性・低弾性・生体親和性を兼ね備えた新材料開発に成功しました。

(詳細は、https://www.eng.osaka-u.ac.jp)